シネフィル必見最強のVOD《mubi》を使ってみた
『スリー・ビルボード』公開のこのタイミングで、mubiにマーティン・マクドナー監督のデビュー作にしてアカデミー受賞作「シックス・シューター」が入っていた pic.twitter.com/I6ypNlxlaX
— 透明ランナー (@_k18) 2018年2月7日
先日、映画超人の透明ランナーさんがTwitterで、『スリー・ビルボード
』マーティン・マクドナーの短編映画『SIX SHOOTER』が《MUBI》で配信されていると紹介していた。mubiはNetflixやAmazon プライム・ビデオのラインナップに満足できない映画超人が使っていることで有名なVOD。チラホラ噂を聞いていたが、いよいよ本格的に興味が湧いてきたので色々調べてみた。
WebマガジンWIREDの記事『Netflix、Amazon Primeになくて「MUBI」にあるもの──シネフィルはなぜMUBIを求めるのか
』によると、コーエン兄弟やソフィア・コッポラなどといった映画監督も御用達のVODらしい。
1880年代から現在まで、世界200カ国以上の名作映画を厳選して配信する購読制ヴィデオオンデマンド(SVOD)サーヴィス「MUBI」。トルコ生まれの起業家エフェ・カカレルが2007年に立ち上げた「オンラインシネマテーク」は、世界中で10万人の利用者を誇る。
またFILMAGAに投稿された映画ライター久保田和馬の記事『【映画好きなら知らなきゃ損】最強のVODサイト!?「MUBI」が熱い!
』を読むと、このVODが明らかにNetflixやAmazon プライム・ビデオとは違った雰囲気を醸し出していることがわかる。
もくじ
ラインナップたった30本
ほとんどのVODが作品数という《量》で契約数を伸ばそうと、しのぎを削っている中、《MUBI》は《質》で勝負している。ラインナップはたった30本。そのラインナップにはアニエス・ヴァルダの『ラ・ポワント・クール』やラウル・ルイスの『その日』といった、映画図鑑やデータベース上でしか耳にしない、日本ではDVD化すらされていないような作品が多数見受けられる。この記事を書いている2018年2月12日現在のラインナップをみると、日本ではほとんど観られないポーランド映画界の巨匠クシシェトフ・ザヌーシ特集と称し4本配信されているではありませんか!他にも、日本では映画評論家・大寺眞輔が特集上映を組まないとジョアン・ペドロ・ロドリゲス監督の作品や、実験映画のゴッドファーザーことジョナス・メカスの作品などが平気で配信されている。
狂ったように映画が好きな人しか喜ばないような作品だらけなのだ。
この手の《質》で勝負したVODといえば、ミニシアターの代表格アップリンクが運営するUPLINK Cloud
やクロード・ランズマンやイエジー・スコリモフスキといったコアな監督作品を配信するBeauties
などがあるが、いずれも作品配信は不定期で、いつ覗いても同じラインナップだったりする。しかし《MUBI》は毎日1本ラインナップに追加し、1本をラインナップから外すというシステムを取っている。配信コストを下げる為に行なっているらしいのだが、これが実に鑑賞欲をそそる。VOD時代最大の弊害は、「膨大なラインナップに鑑賞欲が潰されてしまう」ことにあると言える。心理学には、膨大な選択肢から選ぶよりも、少数の選択肢から選んだ方が幸福度が高いという研究結果がある。VODは世界各国のメジャー映画からマイナー映画まで幅広く網羅し、どんな鑑賞者にも対応した経験価値を提供しようとしている。しかしながら、膨大な中から選ぶのって結構疲れてしまうもの。ブンブンはよく仕事終わりにNetflixで映画を観るのだが、疲れている時って、作品を選んでいるうちに観る気が失せて結構映画鑑賞を諦めてしまう。
ただ《MUBI》の場合、配信期間がどの作品も30日と定められており、尚且つラインナップが30本しかないので、鑑賞意欲が湧いてくる。しかも8割ぐらいの作品が日本でなかなか観ることができない作品だけに、一期一会を強く感じさせる。
ってことで、早速契約してみました。
契約方法・料金体系
早速、《MUBI
》のサイトに行ってみましょう。「TRY 7 DAYS for FREE(7日間お試し)をクリックしてください。登録方法は1.Facebookから登録 2.メールアドレスと任意のパスワードを設定して登録 2つから選べます。ブンブンは2で行いました。
料金は、720円/月のコースか33%割引の1年契約コース(約5,800円)から選べます。ブンブンは1年契約にしました。
支払い方法はクレジットカードかPayPalから選べます。ブンブンはクレジットカード決済にしました。ただ、カード番号入力画面でアクシデントが発生。何故か正しいクレジット番号を打ち込んでも認証されない。別にクレジットカードの使用が停止されているわけでもない。実は、日本のこの手のクレジットカード決済では、16桁打ち込めば認証されるのだが、《MUBI》では4桁ごとに半角スペースを入れないといけないのだ。これに気づくまで1時間格闘しました。要注意です。
決済が終了したら。すぐにでも視聴できます。自分の好きな作品を試しにクリックして観てみましょう。
ストリーミング性能は?
VODの良し悪しを決めるのはストリーミング性能といっても過言ではない。ストリーミングとは、動画を再生しながらデータ通信を行う方式。一本一本ダウンロードしなくていいので、観たい映像をすぐに観られるメリットがある。ただ、ストリーミング性能が悪いと、映像をみている間に次の映像の受信が完了せず映像が止まってしまう。
料金が安く、ラインナップが良くてもストリーミング性能が悪いとストレスが溜まり段々使わなくなってしまう。
ただ、映像が止まってしまう原因の多くは視聴者側に問題がある。例えば、契約している通信回線やルーターの性能が悪かったり、PCが低スペックだったり、スマートフォンだと通信制限がかかっていたりetc。
それでも、凄腕のエンジニアを配備しているところのVODはどんな環境でも映像が観られるようになっている。それこそNetflixはPC、スマートフォン、テレビどんなデバイス、どこで観ようと滅多に映像が止まらないようなつくりになっている。
一方で先日契約したMyFFF(マイ・フレンチ・フェスティバル)に関しては、ハイスペックのWi-fiルーター(ELECOM製 WRC-2533GHBK-I 無線LANギガビットルーター2600)を配備している自宅ですら20分に1度映像が停止してしまうので結構フラストレーションが溜まります。
では、《MUBI》はどうか?
今回は下記のPCで使用してみました。
検証機器
13インチ MacBook Pro
・プロセッサ:3.1GHz デュアルコア Intel Core i5
・メモリ:8 GB 2133 MHz LPDDR3
・SSD:512GB
個人的な感想ではあるが、それなりのWi-fi環境が求められると感じました。壁が干渉し、Wi-fi環境が芳しくない実家(ルーターは詳細スペックこそ不明だがBUFFALO製のルータを使用)で短編映画『SIX SHOOTER』、中編映画『結晶の構造』、長編映画『無題』の3本を観たのだが、いずれも何度か停止した。厄介なことに映像が流れず、音声だけが先行してしまう場面もあった。
そこで、「Settings(設定)」をいじってみた。「VIDEO PLAYBACK(映像再生)」→「STREAMING REGION SELECTION(ストリーミング・リージョン選択)」をみると次のように書いてある。
If you are encountering video streaming issues, manually selecting a video streaming region may help.
ビデオストリーミングの問題が発生している場合は、手動でビデオストリーミングリージョンを選択すると役立ちます。
流石に「日本」のリージョンは存在しなかったので、「香港(HONG KONG)」に設定しました。また、「MAXIMUM VIDEO QUALITY(映像品質)」を「Medium(720p HD)」に設定しました。この状態で再生したところ、若干ですがスムーズになりました。
ただ、自宅の比較的ハイスペックなWi-fi環境で3時間近い作品『ロスト、ロスト、ロスト』を再生したところ、一度も止まることなく視聴することができました。まだ使用して数日なのでなんとも言えないのだが、どうやら視聴環境はある程度整える必要があります。
スマートフォン、テレビで視聴できるの?
PCで視聴できることは確認できたが、他のデバイスではどうだろうか?
スマートフォンはアプリから
スマートフォンから視聴するには専用のアプリが必要になります。iPhoneの場合アップルストアで「mubi」と検索してアプリを探しましょう。アンドロイド等の環境では未検証です。
インストールしたら、先ほど設定したメールアドレスとパスワードを入力してアプリにログインしましょう。
何故かログインしたら、フランス語設定になっていました(読めるからいいのだがちょっとビックリですねw)。もし英語以外の言語になっていた場合、iPhoneの言語設定を変更しましょう。「設定」→「一般」→「言語と地域」→「iPhoneの使用言語」で「English」に設定し、アプリを開いてください。ブンブンはこれで直りました。元々日本語非対応のアプリなので、この状態で「iPhoneの使用言語」→「日本語」に戻しても影響ありませんでした。
やはり、日本未上陸のVODだけに多少の不自由はありますね。
ただ、嬉しいこともあります。Netflixで非常に重宝していたダウンロード機能が《MUBI》にもあります。なので、事前にWi-fiの繋がる場所でダウンロードしておけば、ギガを大量に食われることなく視聴することができ、通信制限を回避しやすくなります。
テレビから鑑賞するには?
パナソニックのVIERAにはブラウザが搭載されているので、試しに《MUBI》にアクセスして映像を再生してみた。すると、真っ暗な画面から一向に映像が再生されない。再生されても1分ぐらいで止まってしまう。そこで、サイトのFAQをみてみた。すると次のように書かれていた。
Can I stream films to my TV?
Yes, you can! With our iOS App you can use AirPlay to stream films to your Apple TV, and both our Android and iOS Apps allow you to play films to your TV via Chromecast. Simply download the MUBI App on your phone or tablet to get started! We also have a MUBI app for Samsung Smart TV, Android TV, Amazon Fire TV, Roku, Apple TV, and PlayStation 3 & 4 (in Europe).
私のテレビに映画を流すことはできますか?
はい、できます!私たちのiOSアプリケーションでは、AirPlayを使ってApple TVに映画をストリーミングすることができ、AndroidとiOSの両方のアプリでChromecast経由で映画をテレビに再生できます。スマートフォンやタブレットにMUBIアプリをダウンロードするだけで簡単にご利用いただけます。 Samsung Smart TV、Android TV、Amazon Fire TV、Roku、Apple TV、PlayStation 3&4(ヨーロッパ)向けのMUBIアプリもあります。
Chromecast等のデバイスを持っていないブンブンはどうやらできないようだ。日本で《MUBI》を使用している人が少なく、日本の記事が全くないので、これらのデバイスでの接続実績は分からないが、どうやらデバイスを用意すれば使えそうですね。
最後に…
日本ではあまり知名度が高くないVODだけに、色々試行錯誤する必要があったが、時間とコストを割く価値があるほど《MUBI》のラインナップは凄かった。今回観た中だと、ミヒャエル・グラヴォガーの『無題』が抜群に面白かった。とりあえず、1年契約したのでじっくり様子を見てみるとしよう。
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