【解説】「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」は女性版「アルフィー」だ!

奥田民生になりたいボーイと
出会う男すべて狂わせるガール(2017)

監督:大根仁
出演:妻夫木聡、水原希子、
リリー・フランキーetc

評価:90点

Twitterでネタにされまくっている「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」。東京国際映画祭シーズンにつき観る予定にはなかったが、映画仲間に「ブンブンの感想聞きたい」とリクエストあったので観てきました。

タイトルとは裏腹にとんでもなく辛くシリアスを極めた怪作であったことは、観る前の私には想像すること不可能であった。

「民生ボーイ(略称)」あらすじ

渋谷直角の同名漫画を「モテキ」「バクマン。

」「SCOOP!

」の大根仁が映画化。時は雑誌編集部署。奥田民生を崇拝する若手編集者は、打ち合わせ先で出会った女にゾッコン。気合で漢を磨きデートを重ねるが、どうもおかしい。実は彼女は出会う男すべて狂わせるガールだった!

水原希子の魔性の女感半端ねぇ!

映画史始まってから様々な魔性の女が爆誕した。しかし、水原希子のこの魔性の女ほど恐ろしい女はいただろうか?いや、ない。

どんな男も、例えネコ声、飾りに飾られた偽りの素顔で魅了していることを見抜いている男ですら、彼女の完全マーケティングされた演出にメロメロ惚れ込んでしまうだろう。正直、ブンブンは水原希子はあまり興味がなかった。物語前半部分、「うぁないわー」と思う。しかし、観ていくうちに「現実にこんな女いたら惹き込まれるんだろうなぁ~」と思うようになった。

そしてそんな完璧ガールはは、アメとムチを使い分け、恐ろしい程強烈なムチで男を叩き、人生を滅茶苦茶にしていくではないか!まさにタイトルに恥じない出会う男すべて狂わせるガールっぷりにはブンブンまいった。しかも、観ているうちに、ブンブンの知り合いで全く同じタイプの狂わせるガールがいることに気づき「あぁ付き合わなくて良かった」と胸を撫で下ろした程の恐怖を感じたのだ。

さて、本作は2つのベクトルに分解することができる。

ポイント1:女性版「アルフィー」だ!

まず1つ目は、本作が女性版「アルフィー」だということ。「アルフィー」とは、007シリーズを製作していたルイス・ギルバードがビル・ノートンの舞台劇を映画化した作品。本気で付き合う気がなく女遊びばかりするゲス男の物語で、ど畜生男のやらしいライフスタイルが延々と描かれるが、そこには本気の恋愛の面倒臭さ、男が心の底で感じる異性に対する嫌悪感を見事に反映している作品だった。2004年にはジュード・ロウ主演でリメイクもされています。

本作はまさに、男目線で描かれているものの「アルフィー」の女性版だ。男の面倒臭さ、男がソクバッキーになる過程を徹底分析して描いている。これは面白い。男性諸君は嫌悪感を覚えるだろう。ただ、それは正常、というよりか監督の狙いではないだろうか。「アルフィー」が賛否両論で、女性のヘイトを爆稼ぎする作品であったの同様、本作は男性のヘイトを爆稼ぎしてこそ傑作、成功なのだ。

ポイント2:理不尽に耐えるサラリーマンの成長譚

そして2つ目は、一人のビジネスマンが憧れの男になるまでの成長譚ということ。17:30定時帰るボーイ、遅刻男と距離置きたいボーイであるブンブンは生存不可能な雑誌編集の現場。

納期を守らないライター、無茶を言うクライアント、徹夜徹夜の職場etc…

様々な人の板挟みになりながら、恋にもがきながらイニシエーションを乗り越えていく奥田民生になりたいボーイに熱くなった。憧れの存在というのは、自分が自覚していないうちになるもの。本作では、しっかり妻夫木聡扮する若手編集者は奥田民生になっていく。しかし、それに自分は気づかない。

まさに「プラダを着た悪魔」でアン・ハサウェイが、人生の困難から無意識のうちに垢抜けていく感じだ。

最後に…奥田民生知らないボーイも満足!

正直、奥田民生だれそれ?あれっSEALDsの人?と思っていたブンブン(奥田民生ファンの方すみません)ですが、大満足な作品でした。

ただ、知り合いの映画ライター曰く、原作はもっとえぐくシリアスらしい。そう聞くと、無性に原作も読んでみたくなったブンブンでした。

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