岸辺の旅(JOURNEY TO THE SHORE)
![岸辺の旅](https://france-chebunbun.com/wp-content/uploads/2015/10/-e5-b2-b8-e8-be-ba-e3-81-ae-e6-97-85-225x300.jpg)
監督:黒沢清
出演:深津絵里、浅野忠信、小松政夫etc
評価:40点
本年度カンヌ映画祭「ある視点部門」を
制した黒沢清最新作「岸辺の旅」を観て来ました。
「トウキョウソナタ」と今作で、
日本人唯一二度目の「ある視点部門」を
制した黒沢清。
「夏の庭」の湯本香樹実原作の
世界をいかに表現したのだろうか…
チョー特殊な幽霊が登場
この作品シンプルな黄泉がえり映画に見える。浅野忠信扮する夫が3年ぶりに
深津絵里扮する奥さんの元に幽霊として
登場し、旅に出る。
おうおう、ロードムービーの要素も入れるんだ。
っと思った矢先、黒沢ワールドが全開し始める。
現実なのか黄泉の世界か分からなくなる、
不思議なカット割り、突然空間を暗くする
演出でえっとなる。
そして、原作もそうなんだろうが
幽霊なのに白玉団子を食ったり、
旅の途中で仕事をしたりとアクティブ。
しかも他人にも見えているという設定だ。
なんか途中から空間が広がりすぎてついて行けなくなったm(_ _)m
この作品の世界では、幽霊と自覚している人と
いない人がいて、幽霊だと自覚していない人は
突如消えてしまうのだそうだ。
なんとなく、後半になると世界観が分かってきたが、
そもそも、長いスパンで旅する話なのに、
サブエピソードのせいで物語の進行が
悪くなり、また時間感覚を失わせる演出で
ロードムービーの醍醐味である
時間とともに成長ないし失ったものを
見つけ出す過程が喪失してしまっている。
観ていると、妻の知らぬ間に異業種に首を
突っ込みまくっている夫に
連れられて職業体験させられる。
ただそれだけの話になってしまい、
エピソードごとのつながりが
薄っぺらなものへとなってしまった。
カンヌはどこを評価したのか?
どうも観ていると、「殯の森」に近いものを感じた。
外国人が観ると、神秘的で美しい世界に
惚れ込み日本語の脚本が持つ感触をスルーして
高評価をしてしまう。
それと一緒で、この作品も現実と黄泉との
境目をなくしていく不思議な演出が
評価されたのだろう。
ストーリーを観ると、やはり冗長で
エピソードが積み重なって旅の終わりの
切なさないし大団円がよく描けていないと思う。
黒沢清の「リアル」を観たときのような
消化不良を起こしてしまいました…
黒沢清次回作は…
![黒沢清](https://france-chebunbun.com/wp-content/uploads/2015/10/-e9-bb-92-e6-b2-a2-e6-b8-85-225x300.jpg)
そんな黒沢清ですが、次回作はなんと
我が法政大学国際文化学部教授前川裕の
ミステリー「クリーピー」だ!
犯罪心理学の教授が刑事からの依頼を引き受けたが最後、
隣家が火事になるわ、妻に浮気疑惑をかけられるわ
大惨事になるという話。
出演は西島秀俊、竹内結子、川口春奈他とのこと。
小説めっちゃ面白いってか、教授の生活感が
むわーんと伝わってくるためニヤニヤが止まらない
作品で映画の完成楽しみだな~(*^_^*)
コメントを残す