3人のアンヌ(2012)
In Another Country(2012)
監督:ホン・サンス
出演:イザベル・ユペール、
ユ・ジュンサンetc
評価:75点
Netflixにホン・サンス監督作が3本アップされているので、「自由が丘で」に引き続き、「エル ELLE
」のイザベル・ユペール主演の「3人のアンヌ」を観てみた。本作を観て、ホン・サンスは真面目にとんでもない監督だなと感じたぞ!
「3人のアンヌ」あらすじ
ある女性は脚本を書く。彼女の書く3つの脚本では、3人のフランス人女性「アンヌ」が韓国人ライフガードに出会う内容だった..アーティストの脳内
ホン・サンスは「自由が丘で」や「あなた自身とあなたのこと
」と時間や会話の流れをぶった切ったり、解体したりと自由すぎる作風で、観る者を困惑させる。この「3人のアンヌ」も同様にすさまじい魔法を魅せてくれる。イザベル・ユペール扮するフランス人女性が、女性の書く脚本の中で3人の人格を演じる。名前はアンヌと同じなのに。しかも、脇役も同じ登場人物。筋書きも、ライフガードと恋愛するところまで同じ。「自由が丘で」に引き続き、反復の相乗効果を狙った作りになっている。
イザベル・ユペール扮する3人のアンヌは、映画監督、映画監督と不倫している女性、不倫された女性と3パターンの女性を演じ分けているところが大きい。特に3番目のアンヌは、不倫され、捨てられた哀しみから、ライフガードにグイグイと身を許してしまうところが非常によく演出されている。
通常、映画はいくつかの案の中から最も良い内容を採用するのだが、「3人のアンヌ」は3つある案を総て採用してしまう大胆なつくり。かつて誰がこんなことを成し遂げたと言えよう。禁じ手であり画期的な演出でもある。
ホン・サンスの映画は、彼の脳内に紛れ込んだかのような面白さがある。癖が強すぎて苦手な人はとことんダメだろうが、ブンブン彼の術中に嵌まるのが気に入ってしまった。
明らかに「コレクションする女」
それにしてもホン・サンスの映画のタッチ、どこかで観たことあるなーと思ったらようやく思い出しました。そうエリック・ロメール。「クレールの膝」とか「春のソナタ」を思わせる空気感が彼の作品の中にあります。特に本作は、まんま「コレクションする女」の空気感です。家と浜辺と女性の距離感、爽快な空気感が非常によく再現されている。それでもって、イザベル・ユペールとライフガードが「焼酎!焼酎!」といって盛り上がっているのを観ると非常に笑えてくる。映画好きは是非とも一度は挑戦して欲しい作品と言えよう。
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