夢が作られる森(2016)
LE BOIS DONT LES RÊVES SONT FAITS(2016)
監督:クレール・シモン
評価:70点
アンスティチュ・フランセ東京のカイエドゥシネマ週間で観てきた。
クレール・シモン監督は日本ではほとんど無名な為か、日本の映画祭なのに何故か英語字幕だけだった。
今回観た「夢が作られる森(LE BOIS DONT LES RÊVES SONT FAITS)」はカイエ・ドゥ・シネマ ベストテン2016で10位に選ばれている作品。果たしていかがなものか…
「夢が作られる森」概要
パリ郊外にNYセントラルパークの3倍もの大きさを誇るヴァンセンヌの森。そこには、喧噪としたパリから逃れるように、また癒やしを求めて多くの人々が訪れる。週末には祭りが開かれたりもする。
そんなヴァンセンヌの森の1年を追ったドキュメンタリー。
Saturday In The Parkの世界
約2時間半、しかも英語字幕でドキュメンタリーとなるとキツイイメージがあるが、実際観てみると、これが中々面白い。本作で映し出される森と人々の交流を観察していると、次第に脳内でシカゴのSaturday In The Parkが流れてくる。喧騒としたパリから離れ人々は人種や職業関係なく各々自由を謳歌する。ヒッピーは半裸で踊り狂い、カンボジアから来た移民は、カンボジア祭で同じ境遇の者と心を通わす。娼婦の女は娘を連れてボートに乗る。ホームレスは森に自分の住処を作る。
まさにPeople dancing, people laughingな世界。
平和、とにかく平和だ。
クレール・シモンの新しい概念
クレール・シモンは本ドキュメンタリーを通じて新しい概念を提示している。それは心の自由を解き放つ存在としての自然だ。「ズートピア
」や「ブルックリン
」「バンコクナイツ
」など近年の作品では、自由及びユートピアを夢見て移住する者が差別や過酷な労働によって「自由」が「不自由」になる。
これらの不自由さは経済的要因や差別によるもので、自由を求める心を阻害する。ヴァンセンヌの森は、そういった負の要素から解き放つ役割がある。社会のしがらみ、抑圧された心を解放してくれる。そう、ヴァンセンヌの森には本当の自由があった。そして、森と人々の交流を通じて新しい幸福論を体感することができた。
やっていることは、ただの森にいる人に対するインタビューなのだが、非常に深い洞察力を垣間見る作品でした。
次回の上映は…
尚、「夢が作られる森」は2017/4/22(土) 17:10にアンスティチュ・フランセ東京にて上映。これを逃すと観られないかもしれないので、気になった方は是非!!!
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