【ネタバレ/解説】ブンブンが語る「ラ・ラ・ランド」が傑作な5つの理由(おまけ:ラジオに出演した件)

傑作ポイント4.古典傾倒への批判

傑作ポイント3でも語ったように「今風」にミュージカルを作ったダミアン・チャゼルなのだが、きちんと物語のテーマとしてもこの要素は盛り込まれている。なんと言っても曲の存在が大きく。ジャズミュージカルなのに、

途中でノルウェーバンドa-haの「Take On Me」やA Flock of Seagullsの「I RAN」、そしてエンドロールで驚いたことだが、滝廉太郎の曲まで使われているのだ!しかも、本作のテーマは「過去に執着するな」ということ。主人公セブは、新しいバンドでキーボード等、電子楽器を使うニュータイプのジャズに不振を抱きつつもそれを乗り越えようという話になっている。つまり、「ワン・フロム・ザ・ハート」や「ニューヨーク・ニューヨーク」が従来のミュージカル風の音楽しか使っていないのに対し、積極的に80年代、現代の音楽を使うことで、本作のテーマを強固なものにしていく。この斬新な技術が素晴らしい。

傑作ポイント5.「巴里のアメリカ人」の批判を込めたラストが熱い!

事前に様々なメディアで言われているように、本作のクライマックスは「巴里のアメリカ人」のオマージュが捧げられているのだが、これがタダのオマージュではない。あの大大大傑作「巴里のアメリカ人」に強烈なツッコミをいれているのです!今となっては傑作だが、よくよく考えてみて欲しい。「巴里のアメリカ人」はジーン・ケリー扮する画家のジェリーが酒場で出会った女性リズにべた惚れし付き合うのだが、彼女がジェリーの友人と結婚することが発覚する。

パーティーでリズに別れを告げるジェリーは妄想する。すると20分近い伝説のミュージカル、ダンス・ダンス・ダンスの大団円が巻き起こる。20分の大団円が終わると、
リズが戻ってきて「やっぱりジェリーのことがスキ♡」と戻ってきて「The End」のハッピーエンドで幕が降りる。

これ以上にないとってつけたかのようなご都合主義ですよね。あの大団円があったからこそ観客は妙に説得されて拍手喝采してしまうのだが、普通の映画ならドンビキ案件。デイミアン・チャゼル監督は、「んなわけあらんやろ!」と哀しくも明るいエンディングを施した。

結局2人は成功するとともに、別れてしまうが、偶然バーで出会い、セブはミアにピアノ曲を送る。ミアの「もし、あの時ああだったら」という妄想を繰り広げ、終わったら目線で
「またね」と語りセブと別れる。そしてすぐさま「The End」の文字を挟む。なんて潔いんだ!結局2人は結ばれないが、愛を確かめ合って去って行く美しさ。

ハリウッドミュージカルは現実逃避の娯楽故に、基本形はハッピーエンド。「巴里のアメリカ人」のように強引にハッピーエンドにするほど拘っている。それを破りつつも、観客に爽快感を与えるあのエンディングはサンプリングとしても100点のクオリティ。最初から最後までブンブンを満足させる映画でした。

最後に…

いかがでしたでしょうか?たった31歳で、ここまでテクニカルで理論的で、でも楽しい映画はなかなか出会えない。なので明日のアカデミー賞はきっと「ラ・ラ・ランド」は作品賞、監督賞を始め9部門ぐらい受賞するでしょう!

明日10時からの授賞式が楽しみなブンブンでした。

「ラ・ラ・ランド」のパンフレットは
720円で情報量が多いので購入をオススメします。
そこら辺のサイトがまとめているようなオマージュ一覧とは比べものにならないぐらいデイミアン・チャゼル監督は様々な作品から引用されていることが分かります。

町山智浩の解説も素晴らしいですよ♪

おまけ:Youtubeラジオに出演しました!

先日、ヒナタカさんのYoutubeラジオに出演しました♪彼はシネマズby松竹で映画ライターをしており、また「カゲヒナタ映画レビュー」というブログサイトを運営しており、月間20万PVも読まれている人気ブロガーです。

そんな彼に「『ラ・ラ・ランド』について語ってみないか?」と誘われ、ガクガクブルブルの中しゃべってきました!

機材トラブルで、私の変声にエコーがかかり「神からのお告げ感」ありありですが、通勤中や寝る前に聴いてみてはいかがでしょうか?

ブロトピ:映画ブログ更新

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