壊れた心(2014)
Pusong wazak!
Isa na namang kwento
ng pag-ibig
sa pagitan ng
isang kriminal at
isang puta(2014)
監督:ケビン・デ・ラ・クルス
出演:浅野忠信、
ナタリア・アセベドetc
評価:85点
「淵に立つ」で悪魔のような
男を演じた浅野忠信だが、
実は数年前にフィリピンでも
大暴れしていた!
東京国際映画祭で上映
されたのだが、
あまりの前衛性と
過激さで(R-15になる
直接的暴力シーンはないが)
日本公開不可能と言われていた
作品「壊れた心」が1/7から
ユーロライブ(ユーロスペース2F)
で公開されている。
」
とミニシアター系激戦区の時期故に
Twitter上で然程話題には
なっていないが、
観てみたらとんでもない傑作でしたぞ!
「壊れた心」あらすじ
マフィアが宗教と力で支配するマニラのスラム街で、「ゴッドファーザー」は
「殺し屋」に「娼婦」の護送を
任せる。
しかし、「殺し屋」は
「娼婦」と一緒に
逃げるのだった…
台本なし・台詞なし衝撃の逸品
本作はなんと台本も台詞もありません。
浅野忠信扮する寡黙な殺し屋が
フィリピンのアンダーグラウンドを
ただひたすら逃げるという
非常に前衛的作品になっている。
いくら上映時間が70分ぐらいでも、
フィルムノワールでも、
普通に撮ったら退屈するし、
映像的にも地味になりがちなのだが、
「リミッツ・オブ・コントロール」
ウォン・カーウァイ映画でお馴染みの
撮影監督クリストファー・ドイルが
手がけるととてつもなくカッコイイ。
1秒たりとも映像に無駄がないのだ。
そして、ケビン・デ・ラ・クルスの
音楽や演出がさらにアングラ
ならではの高揚感を与えてくれる。
まず、素敵だったポイントは冒頭。
本作は台詞が存在しないため、
長回しで登場人物を映しながら、
役名のテロップを入れるのだが、
ここだけで「おっつコレは傑作の予感が!」
とテンションを上げさせてくれる。
この前衛的手法は
入場者プレゼントの
パンフレットによると、
イタリアの劇作家ルイジ・
ピランデルロからインスパイア
されているとのこと。
そしてそのまま、浅野忠信扮する
「殺し屋」が宗教と退廃が支配する
アンダーグラウンドを闊歩し
標的を殺していくのだが、
この舐めるような長回しで
さらにブンブンの心を鷲掴みに
していく。
また、GoProで撮影された
荒々しい自撮り映像。
「殺し屋」が必至に逃げてゆく
躍動感にハラハラドキドキさせられる。
極めつけはサントラ。
本作は、ロックからフィリピンの
民族・宗教音楽、そして「カノン」
といったクラシック音楽も
煩雑かつドープにはめ込んでいくので
カルト映画として最高レベルにまで
押し上げていった。
きっかけ
パンフレットによると、本作を作ろうと思ったきっかけは、
監督であるケビン・デ・ラ・クルスの
愛の詩。
それを短編映画化してから
本作へと結びつけたとのこと。
また、本作描かれるマフィアの
抗争は現在でもフィリピンで
起こっている問題とのこと。
ともかく、ニコラス・
ウィンディング・レフン
や石井岳龍の作品が好きなら
今一番劇場で観るべき作品だ。
騙されたとおもって、
ユーロライブへ挑戦しに
行ってみてください。
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