6.階段通りの人々(1994)
鑑賞環境:川崎市市民ミュージアム
ポルトガルの巨匠
マノエル・ド・オリヴェイラは
徒歩20秒で往復できてしまう
階段だけで重厚な作品が作れる。
階段通りに集まるクズたちの
口げんかが悲劇に繋がっていく
様子はゴーリキーの
「どん底」を思わせる。
そして、出てくる登場人物が
皆生き生きと物語に
関係して、ラストの悲劇へと
繋がっていく様子は
時計のような
精巧さを感じ得た。
オリヴェイラの作品の
多くはDVDやVHSが絶版で
プレミア価値がついている
だけに、本作と
「アブラハム渓谷」の
二本立てを可能にしてくれた
川崎市市民ミュージアムに
感謝である。
7.セブン・チャンス(1915)
鑑賞環境:したこめプレイベント
したこめのプレイベントで
観たのだが、これが大傑作。
「バイオハザード:ザ・ファイナル」
を気に入った中高生にこそ
観て欲しい作品だ。
莫大な遺産相続を受けるために
結婚をしなくてはならない
非モテな男が、
友人の手助けもあって
新聞広告を出したら、
教会に700人近くの熟女が
玉の輿狙って大集合!
非モテな男は逃げる羽目になる
という話だが、
とにかくゾンビのように
地の果てまで追いかけてくる
熟女に爆笑だ!
しかもバスター・キートン映画
なので、ミラ・ジョヴォヴィッチも
びっくりな行く手を阻む障害物
を次々と突破してみせる
キートンさんに100年経った
今でも惚れ込んでしまう。
尚ブンブンの観た上映には
活弁士さんもおり、
非常に楽しめたので
ランクインしました。
8.殺人に関する短いフィルム(1988)
鑑賞環境:DVD(TSUTAYA上野店よりレンタル)
悲惨すぎる犯罪映画。
キェシロフスキ監督の独特な色使いが
本作と非常にマッチしていて
非常に不気味だ。
タイトル通り、
殺人に関するアングラで危険な
映像を観ているような気分にさせられる。
精神病んだ男が、タクシーに乗る。
急いでいる人を押しのけて
乗り込む時の会話からして
病んでいて、ひやひやするのだが、
そのまま男はタクシー運転手を
紐と棒で殺す。
このシーンの嫌らしい感じが
目を覆うほど怖い。
そして、、、あー後は
実際に観て確かめてくれ!
9.坊やに下剤を(1931)
鑑賞環境:DVD(大学AVライブラリ)
演劇にもなっている、ルノワールの
トーキー映画。
本作はフランス版落語とでも言おう、
とにかくQuoi Quoi Pourquoi?
(何、何、なんなん?)と
心地良いほどたたみかける
フランス語による口論で
観客を張り倒していく。
そしてルノワールが
トーキーということで、
全力でトイレの音を
同時録音で入れようと
奮闘している点
ただものではない。
当時としては異例なほど、
コキュ(寝取られ亭主)、
下剤、おまるといった
下品な単語が飛び交い、
取引先の男に
おまるを投げさせたり、
下剤を飲ませたりと
不謹慎なことをさせまくる。
そして、ラストに響き渡る
トイレの轟音は
まるで花火のように
拍手喝采ものである。
このチャレンジ精神に感動。
フランス語を猛勉強していた
大学1年生の頃に観たかった作品だ。
10.性私刑(1971)
鑑賞環境:DVD(購入)
今年は1970年代デンマーク官能
映画研究をしていた関係で、
世界各地の70年代官能映画を
観まくっていました。
デンマーク官能映画も11本観ました。
本作を選んだ理由は、
ロジャーコーマンの語る
成功するB級映画の方程式
に当てはめると素晴らしい
模範的な作品だからだ。
ストーリーは、
試合中に怪我をしたプロレーサーが
怪我の原因を作った
ライバルレーサーの彼女を誘拐して
強姦するが、その女に返り討ち
にされるというもの。
通常であれば、
1.登場人物紹介&レースシーン
2.誘拐&強姦シーン
3.女の復讐シーン
といった構造になるのだが、
本作は1と2を入れ替えて、
先に存分に誘拐&強姦シーン
を入れ、冗長になりがちな
1を中盤に手短に
入れていくことで観客の
ボルテージを上げていく。
このスマートな演出に
ぐっときました。
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