光りの墓(2015)
Cemetery of Splendour(2016)
監督:アピチャッポン・
ウィーラセタクン
出演:ジェーンジラー・
ポンパット,
バンロップ・
ロームノーイetc
もくじ
評価:70点
イメージフォーラムで
タイの鬼才
アピチャッポン監督
トークショー付き
「光りの墓」上映が
あったので行ってきました。
実は就活もあって
観逃していただけに
わくわくでしたぞ~
「光りの墓」あらすじ
廃校を改装して作った病院で軍人が次々と眠り病に罹る。
病院にやってきたジェンおばさんは、
とある軍人と超能力を持った
お姉さんと一緒に不思議な体験を
する…
眠い、長い、でも心地いい!
「世紀の光
」や「ブンミおじさんの森」
と神話的でポップな観たこともないような
ワンダーランドを生み出す
アピチャットポン監督の中で
個人的に一番心にぐっと残った作品だ。
正直、安易に咀嚼し語れない、
とにかく難解で、
映画慣れしているシネフィルでも
間違いなく本作の兵士のように
睡魔に襲われるだろう。
体感時間も長い。
しかし、観終わった後、
本作が退屈だったか?
と訊かれると否である。
眠くはあったが、
それはある種正しい反応。
画面からも薫ってくる
タイののどかな空気。
そして登場人物達の
ユーモラスで純朴な
語り口調が気持ち
良すぎるのだ。
そして、あまりの
難解さに観終わった
後、ずっと脳内を
ぐるぐると
本作が駆け巡る。
監督のQ&Aがなければ
完全に理解することは
できない。でも面白い
作品だ。
アピチャッポン監督に質問
上映終了後にQ&Aが行われました。
通常は英語通訳で行うそうだが、
なんとタイ語の通訳を
用意したようなので、
珍しいタイ語での
Q&Aでした。
ブンブンの質問
ブ:アピチャッポン監督作品は
本作もそうだが「世紀の光」、
「ブンミおじさんの森」と、
非常に神秘的な話の中に
ポップな音楽やエアロビクスを
挿入していく独特な作りを
されていますが、このような
作家性はどのようにして生まれたのですか?
ア:音楽は普段聴かないので、
撮影中に仲間がオススメしてくれた
ものを使います。撮影中の経験を
できるだけ作品に盛り込もうと
しています。
エアロビクスに関してはもっと
違った意味があります。
2010年頃からタイでは、
オフィスワーカーが増え
健康志向が強まり
ブームとなりました。
近所の公園でよく行われるのですが、
これは結構怖いことだと思っています。
皆が一つのことをするのは
統一化に繋がる恐れがあるので、
本作と「世紀の光」では
意図的にエアロビのシーンを入れ
問題提起をしました。
映画館のシーンについて
MCが本作で一番難解な
映画館でのシーンについて
監督に訊いてくださりました。
映画館で予告編が終わると、
全員が立って微動だに
しないシーン。
これはタイの映画館文化による
もので、タイでは映画が
始まる前に国王に礼を
するため、起立しないといけなく、
それを守らないと外国人だろうが
警察に逮捕されます。
その文化を反映させたのだが、
関係者たちに試写で観せた
ところ、背筋がぞっとした。
二度と観たくないと言われましたよw
と仰っていました。
排便シーンについて
本作では排便シーンがあるのだが、
それについて、監督は
「ありのままの自然を描きたかった」
「元々王の墓だった場所に、
学校が建ち、そこが病院に変わり、
そこで排便をすることで、
物語に深みを与える」
と解説してくれました。
削除されたシーン
物語中に、みじんこのような
物体が泳いでいるシーンがある。
本当は、泳いでいる巨大
ミジンコを街中の人々が
自分のところに持ってきて、
腹を切り裂くと
真っ赤な血と黄色い花が
川に流れ出るという
シーンを撮ったのだが、
「さすがにやり過ぎだ」
とカットしたとのことw
最後に…
Q&Aを聞く限り、
相当ロックな人だと分かりました。
ただ、カンヌでパルムドール獲った
彼でもタイ政府からにらまれており、
自由に今は作品が作れないのだそうだ。
次回は南米で撮ることにしている
ようなので楽しみである。
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