ブレア・ウィッチ(2016)
BLAIR WITCH(2016)
監督:アダム・ウィンガード
出演:バロリー・カリー、
ジェームズ・アレン・マキューンetc
評価:10点
今や、毎年インディーズ監督が
こぞって挑戦するPOVホラー。
1999年に公開された
「ブレアウィッチ・プロジェクト」だ。
「魔女伝説をテーマにしたドキュメンタリー
を作ろうとした学生が失踪し、
残されたビデオから映画を作った」
という設定で偽ドキュメンタリー・
スタイルのホラーとして話題に
なり制作費が6万ドルに対し、
興行収入が1億4000万と破格の
大ヒットを記録した作品だ。
あれから17年後、
ホラー映画界の新鋭
アダム・ウィンガードの
手によって続編が作られた。
果たして…
「ブレア・ウィッチ」あらすじ
魔女伝説を追ったドキュメンタリー映画撮影チームの学生が失踪してから20年。
失踪者の身内である青年がyoutubeで
失踪した姉らしき存在を確認する。
仲間と謎を解くために森に行くが…
原点回帰を履き違えている
「ブレアウィッチ・プロジェクト」は、
ビデオカメラ視点という非常に限られた
視野の中で、説明的描写を徹底的に廃した
作風が注目された。
あれから16年もの間に、
「クローバー・フィールド」、
「REC」、
「パラノーマル・アクティビティ」
といった様々な亜種が登場した。
「ブレアウィッチ・プロジェクト」の
ホラー描写は「襲ってくる者に対する説明をしない」
為、一度きりしか使えず、これらの
フォロワー作品は何らかの追加演出を
することで観客を盛り上げていった。
しかし、この「ブレア・ウィッチ」は
原点回帰を目指そうとするあまり、
作風までもが原点をなぞるだけに
留まってしまい、ホラーとして
失格な作品となっている。
まず、良いホラーというのは
1.「ワッ」と驚かす演出意外の恐怖がある
2.襲う者にシンパシーを抱かせる描写がある
3.独創性がある
の3点に集約されると言える。
ホラーの古典「悪魔のいけにえ」では、
肉をつり下げる棘棒を見せたりすることで、
観客に間接的な恐怖を与えており、
さらに奇形家族と飯を食うという独創的な
シーンがある。そして
差別を恐れひっそりと暮らしている
という哀しみを背負っているだから
面白い。
今年の作品だと「死霊館 エンフィールド事件
」
なんか、警察官がいようが、明るかろうが、
幽霊が襲いかかるという定石外しのシーンを
入れることで、物語全体に緊迫感を立ちこめ、
何もしていないのに怖かったりする。
そして、後半になるに従い
家族や幽霊の過去に切なくなっていくのだ。
さて「ブレア・ウィッチ」はどうだろうか、
なんと驚いたことに、
「ワッ」と魔女や人が飛び出してくる
怖さしかないのだ。
小手先で、音量をいじっただけの
ワンパターン恐怖描写しかしてこないので、
すぐに飽きてくる。そしてムカツいてきます。
とにかく、圧倒的恐怖の手数が少ないのだ。
そして、折角ドローンや個性的なキャラクターが
いるのに、全然旨みを活かそうとしない。
折角ドローンを使っているのなら、
ドローンが暴走し、人を襲うとか
魔女の顔を映すぐらいしていいもの。
また、誰かが魔女に憑依して驚かす
ってのもしっかり魅せて欲しいものだ。
ホラーとしては最低ランクの出来にガッカリした。
今月中旬に公開する「ドント・ブリーズ」で
お口直ししたいところである。
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