「少女ムシェット」ブレッソンが放つ救いようのない寓話

少女ムシェット(1967)
Mouchette(1967)

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監督:ロベール・ブレッソン
出演:ナディーヌ・ノルティエ,
ポール・エベールetc

評価:90点

法政大学のAVライブラリーには、
シネフィルがみたら目玉が
飛び出す程のレア映画が沢山ある。

↑「火事だよ!カワイ子ちゃん」なんてチェコ映画も
置いてあります。

それこそ、「ゴダールの映画史」から
ソクーロフのDVD-BOX,更には
マニアックなチェコ・ヌーヴェルヴァーグ

も守備範囲広く取りそろえている。

そして、ブンブンを驚かせたのは、
現在映像資料入手困難すぎて
傑作と耳にしてもなかなか観ることの
出来ないロベール・ブレッソン映画が
沢山置いてあったところだ。

あの有名な「バルタザールどこへ行く」や
「抵抗」はもちろん、
「ジャンヌダルク裁判」
なんかもある。

今回はそんな中でも、
トリアー監督の「ダンサー・イン・
ザ・ダーク」やダルデンヌ兄弟の
「ロゼッタ」に影響を与えたといわれる
「少女ムシェット」を観たぞ!

「少女ムシェット」あらすじ

学校で居場所のない少女ムシェットは、
家庭でもアル中の父親と病床の母親のせいで
自分の心のよりどころがなかった。

そんなある日、森で密猟者と出会い
気まぐれで家に行くのだが、その
密猟者に犯されてしまう…

絶望のどん底過ぎる…

本作は1967年の白黒映画だ。
そう聞くと、いくら悲惨な話でも
今の映画と比べたら描写がゆるい
だろうと思うかもしれない。

しかし、本作を観たあなたは
誤りたくなるのは必至と言える。
葛城事件

」さながら、
「もう許してあげて~」と
叫びたくなるような地獄がそこには
あった。

学校では、先生に頭をつかまれ
しごかれる。友だちには仲間はずれにされる。
完全にひねくれ、友だちとの接し方を
忘れたムシェットは砂を下校中の
同級生に投げつける。
この心の寂しさに胸を締め付けられる。

そして、家にも居場所がないもんだから
森にいた密猟者と仲良くなろうとするのだが、
これがとんだ野郎で暴力的。
犯されてしまう。

ムシェットは秘密にしようとするのだが、
何故かすぐに街全体に噂は広がり、
「ふしだら女め」とレッテルを貼られる。

ロベール・ブレッソンお得意の
クローズアップやドライなショットが
ここまで心に刺さるとは思ってもいなかった。
また、動物愛護団体が五月蠅い今では
できない動物殺しのシーンなど
むごすぎる映像の連続で
地獄巡りをしているようでした。

しかし、本作は明らかに後世の作品に
影響を与えているのは確か。
それこそ「ダンサー・イン・ザ・ダーク」
や「ロゼッタ」はもちろん、
東京国際映画祭で上映された
フロッキング

」にも影響を与えただろう。

一度観たら頭から離れないこの地獄、
機会があれば是非お試しあれ。

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