【ベネチア映画祭特集】「或る人々」ヴェネチア映画祭有力候補コンチャロフスキーの旧作

或る人々(1987)
SHY PEOPLE(1987)

或る人々

監督:アンドレイ・コンチャロフスキー
出演:ジル・クレイバーグ,
バーバラ・ハーシー,
マーサ・プリンプトンetc

評価:60点

現地日時9/10まで開催中の
第73回ヴェネチア国際映画祭。

今年のコンペは、
エミール・クストリッツァ
やドゥニ・ヴィルヌーヴ

始め大御所だらけ
なのだが、

↑ドゥニ・ヴィルヌーヴの
「ARRIVAL」は空から、
「ばかうけ」そっくりな
宇宙船が落ちてくるSF。

どれも
ファンタジーだったり
ドキュメンタリーだったりと
賞レース的に厳しいラインナップ
となっている。
(とは言っても、
さよなら、人類

」のように
変な作品が獲ることもあるが。)

そんな中、金獅子賞を獲るのでは
とブンブンが予想するのは、
ロシアのアンドレイ・コンチャロフスキー
監督作「Rai(Paradise)」だ。
予告編は出ていないっぽいので
ヴィジュアル不明だが、
第二次世界大戦を舞台に
3人の人生を交差されるという
ものらしい。

2014年に「白夜と配達人」
同映画祭監督賞を
獲っているだけに
期待が高まります。

そんなコンチャロフスキーを応援するために、
今日はカンヌでバーバラ・ハーシーが
女優賞を獲った彼の作品
「或る人々」を紹介するぞ!

「或る人々」あらすじ

ソ連映画の巨匠・ニキータ・ミハルコフ
の兄で、アンドレイ・タルコフスキーの
ローラーとバイオリン


「僕の村は戦場だった」など
の脚本を手がけたコンチャロフスキーが
1980年代、アメリカ移住した頃の作品。

NYで記者をしているダイアナは、
次の記事で自分のルーツに
関する特集を組むために、
娘を連れてミシシッピーの
沼地へ行く。

大叔父がそこに住んでいるからだ。
しかし、大叔父の地区は
周辺から「シャイなヤツしかいねぇ」
「粗野な野郎だ」と差別されており…

中上健次のような世界観

ヘイトスピーチや移民排斥運動で
荒れる今こそ一見の価値のある作品です。

とは言っても、所謂今の
民族差別認識で本作を観ると、
異物感を感じるのは間違いない。

というのも、本作で描かれる
差別というのは、日本で言う
「被差別部落」問題に近いタイプの
差別だからである。

沼地の奥という地域は、
周りから差別されている。
差別が強すぎるので、
その地区は自給自足の
生活をしている。
外の世界に対し、
憎しみと不信感を
強く抱いている。

そんな地区に、
NYから記者が来ると、
「ヤンキーめ!帰れ帰れ」
と煙たがられる。

原題の「SHY PEOPLE」
本当に重くのしかかります。
差別故に沼地の人は
心を外の世界に明かさない。
それを外の世界の人は
「SHY PEOPLE」と呼ぶ。
差別により、より歪に
なっていく民族像を
観客にたたきつけるのです。

シャイって軽い使い方を
するイメージが強かった
ブンブンにとって、
衝撃を受けました。

まるで、中上健次
小説のように、
閉鎖された世界を
観客に突きつける。
そして、荒々しい
とある地区の人間悲哀に
心揺さぶられる作品でした。

↑中上健次小説の映画化
「千年の愉楽」

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