“Ç”【したこめ】坂本頼光による「子宝騒動」日本のドタバタコメディは凄い!

子宝騒動(1935)

子宝騒動

監督:斎藤寅次郎
出演:小倉繁、出雲八重子etc

評価:75点

第9回したまちコメディ
映画祭
のプレイベントで
台東区生涯学習センターで
行われた活弁士付き
上映会。

坂本頼光が挑戦したのは、
30年代日本のB級映画
「子宝騒動」だ!

当時喜劇の神様と言われた
斎藤寅次郎と
和製チャップリンこと
小倉繁がタッグを組み、
当時、大東和共栄圏を
推し進めていた日本の
子作り政策を皮肉った作品だ。

本作は斎藤寅次郎の
無声映画の中で
唯一現存するもの。
なかなかお目にかかれる
作品ではないのでこの目で
確かめてきました。

「子宝騒動」あらすじ

無職でニートな夫をよそに、
奥さんは6人の子育てと家事に
奮闘中。水道が止められようが、
ガスを止められようが、
あの手この手でその場をしのぐ
日々だ。

そんなある日、奥さんが
産気づいて、
7人目の子供を産みそうになる。

さすがに、ここは夫の出番。
産婆さんを呼ぼうと冒険に出る…

RPGかな?


1930年代の娯楽作品は、
非常にコミカルで楽しい作品が
多い。日本初のトーキー映画
「マダムと女房」や「鴛鴦歌合戦」
など、人々の素朴な生活の中で
生まれる笑いの演出が上手い。

この文化が、後の「サザエさん」
に影響を与えた
のかと思うほどだ。

さて、この「子宝物語」は
とってもドタバタである。

夫が妻の産気を見かねて、
産婆を呼ぼうと旅に出る。
しかし、既に6人の子を
産ませてもらった産婆さんは
「金を払わんおたくには行かない」
と断られてしまう。

金が必要とのことなので、
娘を身売りしようとしたり、
スリをしようとするのだが
上手くいかない。
そして、逃げ出した高級豚を
捕まえようとしたり、
火事場の子供を救ってお金を
手にしようとするが
てんで上手くいかない。

10分で解決できそうな問題が
よからぬ方向に行きすぎて
とんだ大冒険へと
変貌するのだ。

小倉繁の一生懸命すぎるのだが
空回りしている哀愁もあって、
今の邦画では決して
観ることのできない笑いが
そこにありました。

今の日本は先進国として、
周りにモノや情報が溢れた世界。
モノがないからこそ、
時間に余裕があるからこそ
生まれる笑いはもはや日本にはない。
そんな失われた笑いを堪能できる
作品でした。

小ネタ

坂本頼光によると、
小倉繁は本作制作時、
自転車に乗れなかった模様。

なので、折角小倉扮する夫を
迎えに知人が自転車に乗って
やってきても、夫は自転車に
乗らずに走って家を目指す
変なシーンが生まれてしまった
とのこと。

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