“Ç”「64-ロクヨン-前編」佐藤浩市映画史上最も地獄…

64-ロクヨン-前編(2016)

64

監督:瀬々敬久
出演:佐藤浩市、綾野剛、
榮倉奈々、夏川結衣etc

評価:70点

すっかり、邦画2部構成
アレルギーを患ってしまった
ブンブンは、
ハードな刑事物、しかも横山秀夫
ものだけあって「64」は観ないぞ!
と決め込んでいたのだが、
諸事情で
観ることになりました…

「64-ロクヨン-前編」あらすじ

小説、テレビドラマと人気を
博した横山秀夫の人気小説
「64-ロクヨン-」の映画化。
前編では、広報部の三上が
記者クラブと和解するまでを
描いている。

昭和64年に起きた少女誘拐事件。
解決できず、広報室に左遷された
刑事三上は未練があった。
そんな少女誘拐事件も
時効まで1年を切った。

交通事故の報道の件を巡って
記者クラブと軋轢が生まれ、
四面楚歌に追い込まれる
三上。それでも彼は
自分の正義で2つの
問題を解決しようとする…

地獄です

三國連太郎の息子さんも
ご立派になられたなーと
感心感心の一言でした。

ここまで地獄の刑事人生
を演じられる正義感溢れる
男は佐藤浩市しかいない。

過去の事件、
そして現実の事件、
そして自分の娘の失踪
という三十のジレンマに
押しつぶされそうになりながら
もがく様子を重厚に描いている。
2部構成なので、
前編では一切報われないため、
観客は徹底して悪夢のような
人生を魅せられる。

その魅せ方に痺れる。

まず、多くの大作日本映画は
キャラクターがあって、
その後ろに「社会」を置く構造の
作り方をしているのだが、
本作はヨーロッパ映画路線だ。

まず、「社会」があって
その後ろでキャラクターを動かすのである。

冒頭、少女誘拐事件の顛末を足早に
展開する。数多登場人物を紹介する
時間がないので、観客を事件の渦中に
いきなり放り込むスタイルを取る。
これがいいんですよ。
事件のハラハラ感があって。
そして、事件を追ううちに
次第に佐藤浩市の存在が見えてきて
スタート地点に立つ。
他の邦画では、インディーズ系を
除きあまり観られない技術だ。

そして、本作の肝は広報室刑事の三上だ。
シビル・ウォー

」同様、「正義」の違いから
軋轢を生む描写が旨みとなっている。
ただ単に、三上の悲惨さを描くだけでは
主観的に終わってしまう。
時折、「三上、おめぇその行動は身勝手すぎだろ!」
みたいな三上の悪い点を滲ませる
ショットを巧みに挟むことが客観性を増し
ドラマに深みが出て肝となる。

例えば、記者クラブに交通事故の被害者の
名前と住所を三上が勝手に公開しようとする
シーン。仲間が「俺たちはどうなるんですか?」
と言うのに対し、明らかに感情的に
振り払う。

また、佐藤浩市扮する三上が
榮倉奈々扮する部下に
「女は頑張ってもどうにもならねぇんだよ」
的な発言。こりゃアカンね…

こういったように三上の感情的に
なりすぎてモラルを失う場面を
描くことで、ジレンマが協調されてくる。
通常、正義感強い主人公にこんな
負の描写を露骨に与えることは邦画では
なかなかないことだが、
積極的に挑戦していてGOODだ!

惜しい場所

ただ、こんなレベルの高い
演出故に「惜しい!」
唸らざるえないシーンがある。

それは2カ所。
まず、三上が誘拐事件被害者の
家に行き号泣するシーン。
あんだけ号泣していたのに、
次のシーンで顔が全然
湿ってないのだ。

あんだけ号泣しておいて
目元も赤くなってないのは
演出ミス感否めない。

また、終盤公衆電話が
出てくるのだが、
土手にある公衆電話にしては
やけに綺麗すぎる。

全体的に洗練されている
作品だけに、この二点の
朱が気になってしまった。

それはそうと、
マジで後編が気になる。
あまりに報われない
三上は果たして
地獄から生還できるのか?
後編でしっかり目に焼き付けたい。

「64-ロクヨン-後編」の感想はコチラ

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