“Ç”【ネタバレ解説】「ヘイル、シーザー!」コーエン兄弟1950年代内幕もの完全再現

元ネタ1.ハリウッドテン

冷戦時代にアメリカでは共産主義への
恐怖によって赤狩りが横行した。
映画界もそのあおりを受ける。

赤狩りは、
知り合いの共産主義者の名前を吐かせて
芋づる式に発見するものだった。

1947年、非米活動委員会の聴聞会で
共産主義者の名前を吐かなかった
10人が「ハリウッドテン」として
ブラックリストに載せられ、
ハリウッドで働けなくなった。

本作ではジョージ・クルーニー扮する
ジュリアス・シーザー役の俳優が
彼らに誘拐され共産主義者に
される様子がユーモラスに描かれている。

あまりにハリウッドテンの人々を
茶化すので超ブラックなシーンだ。

ちなみに、そんなハリウッドテンの
一人ダルトン・トランボの伝記映画
「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」が
7/22にTOHOシネマズシャンテ他
にて
公開されます。

ハリウッドテン一覧

1.アルヴァ・ベッシー
(脚本家)
→「北部への追撃」etc
2.ハーバート・ビーバーマン
(映画監督・脚本家)
→「地の塩」etc
3.レスター・コール
(脚本家)
→「野生のエルザ」etc
4.エドワード・ドミトリク
(映画監督)
→「嘆きの天使」「アンツィオ大作戦」etc
5.リング・ラードナー・ジュニア
(ジャーナリスト・脚本家)
→「M★A★S★H」etc
6.ジョン・ハワード・ローソン
(作家・脚本家)
→「サハラ戦車隊」etc
7.アルバート・マルツ
(作家・脚本家)
→「真昼の死闘」etc
8.サミュエル・オーニッツ
(脚本家)
→「女の一生」etc
9.エイドリアン・スコット
(脚本家・プロデューサー)
→「十字砲火」etc
10.ダルトン・トランボ
(脚本家・映画監督)
→「ローマの休日」「パピヨン」etc

元ネタ2.エディ・マニックス

1935_Eddie_Mannix

ウィキペディアより引用

彼の元ネタはMGMの副社長を
務めた人物である。
名前もそのまま流用。

しかし、ジョシュ・ブローリン
曰くMGMのハワード・ストリックリング
やルイス・B・メイヤー
をもモデルに
しているとのこと。
さらに監督はマニックスのちょび髭
ウォルト・ディズニーに寄せている
ことから、映画会社のマネージャーの
大変さを重層的に描いていることが分かる。

元ネタ3.「錨を上げて(1945)」
「踊る大紐育(1949)」

中盤、チャニング・テイタム扮する水夫役男優の
ミュージカルが丸ごと一曲分観られる。
これの元ネタはジーン・ケリーと
フランク・シナトラが出演する
「錨を上げて」「踊る大紐育」の
オマージュだ。しかし、普通の映画が
数秒で終わらせるようなオマージュ
もコーエン兄弟は相棒的存在
ロジャー・ディーキンス撮影監督
とガチで挑む。
確かにテイタムさんは「マジック・マイク」
でダンスは踊れるが、
タップダンスは初めてとのことで
3ヶ月半猛特訓したとのこと。
恐ろしいぐらいに洗練された
ダンスにしびれるぞ!

元ネタ4.「上流階級(1956)」?

劇中で訛りの激しい西部劇役者が、
硬派な舞台劇に出るという場面。
タイトルが「我らは踊る」なので
「會議は踊る」のオマージュだと
思った人がいると思うが、
あれは1931年、しかもドイツ映画、
さらに英題が全然似ていないので
引用してないでしょう。

むしろ、
高級令嬢と2人の男の
3角関係を描いた
「上流階級」の方が
ベースにあると考えられる。
無論パンフレットには
記載なしなのでなんとも
確信が持てないのだが…

元ネタ5.バズビー・バークレー
とエスター・ウィリアムズ

予告編でも紹介されていた、
人魚の独特な演目シーン。
あれは、エスターウィリアムズ主演の
「水着の女王(1949)」と「百萬弗の人魚(1952)」

からのオマージュ。

そして、あの万華鏡のような
マスゲーム演出は元々、
バズビー・バークリー
という人が開発した技術で
天井から下に向かって撮影する
技法はバークレー・ショット
と呼ばれているぞ。

意外と、「コララインとボタンの魔女


やミュージカル映画で観る描写
なのだが、ここまで露骨に
再現した作品はなかなか観られない。

1950年代のゴテゴテな仕掛けも
相まって良い感じです。

元ネタ6:「クォ・ヴァディス(1951)」
「ベン・ハー(1959)」

本作では、「ヘイル、シーザー」の
撮影現場が舞台になっている。
一応、宗教映画なので
ユダヤ教やカトリック、
プロテスタントの神学者を
呼んで興業が成功するか議論する
場面がある。

そこで、「わしは大車輪が激走する
映画は嫌じゃ」的なことを一人の
神学者が言うが、これは
「ベン・ハー」のことを言っている。

また、当時一応「ジュリアス・シーザー」
1953年にルイス・カルハーン主演で、
さらにMGMで作られていたが、
白黒映画でした。

もしカラーにしたら?とのことで、
「クォ・ヴァディス」風で作ってます。

元ネタ7.ロイ・ロジャース

訛りのキツいカウボーイ役者の
元ネタはロイ・ロジャース。
劇中では「LAZY ON MOON」という
映画が上映し劇中で
歌を歌うが、
そのネタは1939年の「The Arizona Kid」
の劇中曲です。
ヘイルシーザー

他にも沢山の小ネタがあるだが、
紹介しきれないので、
是非パンフレットを
買ってください!
(情報量多めですよー)

関連項目

・ブンブンが大学一年の時に
課題で書いたミュージカルレポート
「紳士は金髪がお好き」レポート

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です