カルテル・ランド(2015)
CARTEL LAND(2015)
監督:マシュー・ハイネマン
出演:ホセ・ミレレス
評価:65点
昨年度のアカデミー賞は
長編ドキュメンタリー賞
部門で良作揃いの激戦となった!
インドネシア虐殺事件の
真実を危険すぎる技法で
描いた「ルック・オブ・サイレンス」
やウクライナの暴動に迫りまった
「ウィンター・オン・ファイア」
と
社会運動系ドキュメンタリーで
監督の命を削る記録に
圧倒されたブンブン。
キャサリン・ビグロー制作の
本作はいかがなものか…?
「カルテル・ランド」あらすじ
メキシコは2000年代から過激化した麻薬戦争により市民が苦しめられていた。
ミチョアカン州に住む医師ホセ・ミレレス
は、町に蔓延るテンプル騎士団という
麻薬カルテルを倒すべく自警団を組織。
次々と町を麻薬から救い、
警察も手出しできないぐらいに
規模を拡大してきた。
しかし、自警団が増えると同時に
内部での軋轢が発生し…
現実の「シビル・ウォー」
や「ウォッチメン」の
世界観がまさかここまで忠実に
現実世界で起きていることに衝撃を
受けました。
本作は、自警団のカリスマ的リーダー
であるホセ・ミレレスにカメラを
密着させて描く。
自衛のために武器を持ち立ち上がる市民。
最初は明確なルールを定め、
「勝手に人の家に踏み入れない」
「逃げる者を追わない」
といったルールを定め、
復讐の鬼にならないよう仲間同士で
誓い合って町からも信頼を得た。
そして町の人も麻薬撲滅に賛同し、
なかなか動いてくれない警察官に
対してデモを行ったりしていた。
それが自警団が増えるにつれ、
「復讐」メインで動く者が増加。
ルールは次第に破られていく。
疑わしい者に対して殴る蹴るの
暴行を加える拷問を行う。
家族連れの容疑者の場合、
こどもの前であっても銃を
ちらつかせて脅す。
そしていつしか警察の目の敵にされ、
ホセさんは追われる身となる。
「正義」同士の軋轢の終焉で、
本来の目的を失い
「正義」が「正義」でなくなる
瞬間を捉えていてホントウに怖い。
まるでキャプテン・アメリカが、
アメリカの正義を貫いて行動したら
政府から狙われてしまう
「ウィンター・ソルジャー」
にも近い恐怖がここにありました。
そして、カメラは麻薬売人側もしっかりと、
しかも冒頭で取材し捉えている。
「俺たちは貧しい村出身だ。
こうでもしないと生活ができない。」
「良心に耳を傾けたらすべてが台無しだ」
「麻薬カルテルが存在するから、
自警団も稼げているんだろ」
といった麻薬売人にならざる得ない
心境を彼らが語りだし、
メキシコがいかに負のスパイラルに
陥っているかがよく分かる。
マシュー監督のコミュ力の高さに
脱帽である。
ただ、一点残念なところ
ただ、本作が一番「あちゃー…」と感じざる
得ないところがカメラワークにある。
今回、アカデミー賞ノミニーの
「ルック・オブ・サイレンス」と
「ウィンター・オン・ファイア」が
危険な状態でもカメラをぶれさせる
ことなく現状を撮り収めたのに
対し、全体的にぶれっぶれで
ビビリ撮影だったところが
大きく残念でした。
町山智浩曰く、マシュー監督は
スペイン語がわからないまま現地入り
したようで、そりゃ怖いわと
同情はする。
ブンブン、絶対こんな撮影
できないのだが、
それでも上記2作品と比べると
ドキュメンタリーの肝である
撮影に難があったかなと感じてしまった。
それでも圧倒されるので、
是非イメージフォーラムに
駆けつけよう!
↑初日のイメージフォーラムは
「ヴィクトリア」
の公開日と
重なったこともあり、
長蛇の列でしたよー
入場者プレゼントでメキシコ、アングラアイテム
の「死の聖母サンタムエルテ」の置物をもらったw
ちなみに
ブンブン、フランス留学中にシャルリーエブド襲撃事件デモ
(アンジェ)
の様子をリポートしました。
怖かったぞ(ガクガク
メキシコ麻薬戦争映画の記事
コメントを残す