キャロル(2015)
CAROL(2015)
監督:トッド・ヘインズ
出演:ケイト・ブランシェット、ルーニー・マーラetc
評価:80点
昨日、映画ファンの集い主催の
試写会でアカデミー賞6部門
(主演女優・助演女優・脚色・撮影・衣裳・作曲)
にノミネートされている「キャロル」を
観ました。
あの「見知らぬ乗客」「太陽がいっぱい」の
原作者パトリシア・ハイスミスが自身の
体験を基にしたレズビアン小説の
映画化である。
「ベルベット・ゴールドマイン」や
「アイム・ノット・ゼア」のトッド・ヘインズが
1950年代の作品のテクニカラー、徹底的に作り込む
絵面を再現して挑んだ本作果たして…
「キャロル」のあらすじ
貧しくクリスマスシーズン、デパートの売り子をしている女性テレーズ。
そんな彼女の前に現れた美しい
富豪の女キャロルに一目惚れしてしまう。
キャロルがデパートに忘れてきた
手袋をテレーズが届けたことから
意気投合。ドンドン仲良くなり、
ラブラブになるのだが…
ルーニー・マーラの目ヂカラに刮目せよ!
「キャロル」のレトロ感溢れる
映像には誰もが感動するであろう。
太陽光の質感や黄色、赤の使い分けが
非常に美しい。
しかし、本作が凄いところは
そこにはない。
ケイト・ブランシェットとルーニー・マーラー
の演技にある。全く映像演出に頼らず、
原作のキャラクターを忠実に演じており
全く違和感がないのだ。
ケイト・ブランシェットは
重厚で高級感のあるボイスで話し、
原作にあったデカダンスな匂いまで
放っている。あまりにも迫力のある
演技で開始数分、あれっ?ルーニー
演技負けしているのではと思うのだが、
それは直ぐさま間違っていることに気づく。
ルーニー・マーラは「ドラゴン・タトゥーの女」
を演じたとは思えないほどの華奢さを
魅せる一方、チョー鋭い目線を
ケイト・ブランシェット扮するキャロルに
投げつける。
時間が止まったかのような、一目惚れする
ルーニーの熱い視線。あんなに迫力ある
ケイトを凌駕します。
今回のアカデミー賞の主演女優賞は
「ルーム」のブリー・ラーソン
一択決定らしいので流石の
ケイトさん勝てそうにないが、
助演女優賞候補の
ルーニー・マーラ(あの…主演の間違いでは?)
は対抗馬であるアリシア・
ヴィキャンデルに勝てそうだ。
確かにアリシア・ヴィキャンデルは
「リリーのすべて」という話題作に出ており、
「エクス・マキナ」のロボット役の
演技がメチャクチャ上手い。
合わせ技を使ってくるので強敵で
あるが、あそこまでの忠実な
原作再現、映画を支配しかねない
キャロルというキャラクターに
負けない演技は評価すべきである、
注目すべきである。
原作は読んだ方がいいの?
河出文庫から翻訳版出ているのだが、
物語を楽しみたいのであれば、
読んではいけません。
ほとんど原作通りです。
とはいえ、読んでしまった人でも
納得のいく映像化である。
原作読了のブンブンから言わせると、
確かに時間の尺の関係もあるが、
もうちょっとデパートの裏側観たかった、
「凧」のシーン欲しかったと
ないものねだりしたくなるのだが、
それでも役者と監督の粋な演出に
うっとりするであろう。
そんな「キャロル」は2/11(木)
TOHOシネマズ日本橋他にて公開。
関連項目
コメントを残す