レインツリーの国
監督:三宅喜重
出演:玉森裕太、西内まりやetc
評価:75点
クリスマスシーズン始まってますねー
映画業界もクリスマスのイケイケカップル
向けライトなデートムービーを公開する
時期である。
今回紹介するのは、
Kis-My-Ft2玉森裕太が果敢に
関西弁に挑戦、
「阪急電車」「県庁おもてなし課」と
有川浩の小話系を手がけてきた
三宅喜重監督が再びヤツの原作に
挑んだ「レインツリーの国」である。
今回はマジで映像化難易度が高いぞ~
7割メールの会話…どうする監督?
さて、原作を読んだ人なら察しがつくだろう。これはストーリーの進行を「メール」に託した
ストーリーなのである。
サラリーマンと難聴の女がメールを通じて
恋を育む。Face to Faceでは地獄のデート
になるところを「メール」が癒やす、
イマドキの恋愛を描いており、
「危険な関係」のように手紙方式の原作を
破壊して物語を進めることはできない。
かといって、「ステイ・コネクテッド」のように
単にメールやLineの画面を表示して無言で
展開するわけにもいかない。
何故ならば、本作を観に行く人の多くは
キスマイ玉森裕太の声が目的だからだ。
確かにデートムービーではあるものの、
玉森裕太目当ての客もいるから、
彼の声、彼の頑張る関西弁を沢山盛り込まねば
ならない。キャスティングの時点で
厳しい戦いである。
おまけに、当の原作、ぶっちゃけ話がしょぼいのだ。
確かに、難聴の人との恋っていうのは悪くない。
普段の生活で気づかない苦痛を教えてくれる。
しかしながら、たった数度のデート、
まるで高校生か!と思う程童貞くさいやりとり
でようやくスタートラインに立つ。それだけの話である。
そこを監督はしっかりした脚本を下地に
開き直ったかのような手法で大胆に乗り切る。
まず、本作品を或る種の「マイ・フェア・レディ」と
考えた監督は、ポスターや予告編の西内まりやの
画面映りを悪くした。
ラスト10分にマジで美人に変わる西内まりやは見物である。
玉森裕太がコンプレックスを抱える彼女を変えていく、
映像でしか魅せられない特性を上手く生かしている。
そして、玉森裕太の特性も理解して動かしている。
彼は「子犬」に見えませんか?
ってことで忠実に彼女に仕えようとする振る舞いに
魂を注ぎ込む。確かに、玉森裕太の関西弁は
不自然だ。しかしながら、頑張って話している感じに
「萌え」を覚えさせる。本作は例外的に
下手な演技が良い味を出しているのだ。
原作も同様だが、主人公がいい人過ぎっていうのもあるが、
運命を狂わす存在が弱いっていうか
皆無に等しくなっちゃっている為、多少山場を欲してしまう。
ただ、よくよく考えると監督が「マイ・フェア・レディ」もの
へと昇華させたことによりその手の山場は不必要に
なったとも言える。
カップルだって、玉森ファンだって映画で
どんよりした気持ちにはなりたくないはずだ。
そう考えると、難聴の描写も薄味で丁度良かったのかも
しれない。
映画好きが観ても、多少は全体に弱さがあるものの
それは許容範囲、それよりもあの原作をあそこまで
スマートにまとめあげた監督の技量に感動である。
ただ一点、気になるとすれば、
前半玉森扮する伸くんのLineプロフィール写真が
何も貼っていなかったのに、中盤取って付けたかのように
貼り付けられている。にもかかわらず、西内まりやは
終始何も貼られていない。そこは理由を解説して
欲しかったな~
↓主題歌「最後もやっぱり君」
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