1001グラム ハカリしれない愛のこと(1001 grams)
監督:ベント・ハーメル
出演:アーネ・ダール・トルプ、ローラン・ストーケルetc
評価:65点
「輸送する」…そう聞くと、
ハゲのおっさんが麻薬や
国家機密情報を壮絶な攻撃に
遭いながらもプロフェッショナルの流儀で
乗り切る映画を想像するが、
今回紹介する「トランスポーター」系映画は、
なんとキログラム原器をノルウェーから
フランスに運ぶ女性を描いた作品だ。
過去にも先にもない珍しい職業映画
Bunkamuraル・シネマにて観て来たぞ~
キログラム原器って?
皆さん、世の中には様々な単位がありますよね~メートルや秒などなど…それらの多くは
プロフェッショナルが厳密な理論に基づき
決められている。
例えば1メートルは、真空中で光が1/299792458秒に進む距離
と定められている。
しかし、キログラムに関しては厄介な問題がある。
ちょっとした気温や気圧で重さは変動してしまう。
しかし、未だに光や粒子の個数による正確な
計測方法が確立されておらず、未だにキログラム
原器というものを測り比べてキログラムという
単位を管理している。
今回の話では、
定期的に開かれるキログラム原器の重さを調整する
パリ国際会議に病気になったオヤジの代わりで
出席する女性の話である。
几帳面な性格の彼女が、慎重にキログラム原器を
運びミッション・コンプリートと
思いきや、帰りに車の事故で原器を破壊してしまい、
急いで修理しようとする話である。
なんかあんなに几帳面な女性が、
あんな間抜けな事故を起こす?
とか何故か発展する恋愛劇の
ストーリーの描き方がちょっと
変な感じで、あまりに特殊な職業人
映画なのも相重なって
とってもビザールな作品だ。
折角、題材は唯一無二で
面白くいいのに、
どこか字足らずで
MOTTAINAI!と思う。
舞台挨拶で監督は、
メキシコ旅行に行った時出会ったノルウェーの
軽量センターの人に本作でもロケ地として
使われた施設を案内してもらい、
「原器を紛失した国がある」といった
面白裏話を聞いているのに、
ストーリーで控えめに小出しにしすぎでした。
もっと面白話を攻めて描いたら、
良い映画になるのになーと感じてしまった。
とはいえ、「酔いどれ詩人になるまえに」や
「ホルテンさんのはじめての冒険」等、
ベント・ハーメルお得意の哀愁オヤジ映画の雰囲気は、
主人公が女性になっても変わらず、
くすりと笑えるので、北欧映画好き、ベント・ハーメル
ファンは満足する作品であろう。
また普段、まず目にすることのない
ニッチな職業に興味のある人や、
工場見学好きには溜まらない一本であった。
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