“Ç”幻のベルイマン・カルト映画「仮面/ペルソナ」を観る

仮面/ペルソナ(PERSONA)

仮面/ペルソナ

監督:イングマール・ベルイマン
出演:ビビ・アンデショーン、リヴ・ウルマンetc

評価:90点

イングマール・ベルイマンってご存じだろうか?
スウェーデンを代表とする巨匠で、
「処女の泉」「野いちご」といった圧倒的
映像美と詩的な内容で世界の映画好きを魅了。
日本でも毎年特集上映が組まれるほどの
人気監督だ。

最近だとMAN WITH A MISSIONの
「SEVEN DEADLY SINS」のMVで
「第七の封印」が引用されている。

↑こっちが元ネタの「第七の封印」

幻の作品「仮面/ペルソナ」がチャンネルイマジカで!

今月16日にキングレコードから販売された
「仮面/ペルソナ」HDリマスター版。
先月までは中古で買うしかなく1万を超えるプレミア作品でした。
TSUTAYAでも置いておらず、特集上映でも扱われないものの、
世界ではカルト的作品になっており、
「101 CULT MOVIES YOU MUST SEE BEFORE YOU DIE」って
本でも紹介されている程だ。

ようやくDVD発売を記念してかチャンネルイマジカで放送
されたので観たぞ~

名女優リブ・ウルマン一言しか発せず

台詞の少ない作品は少なくない、
「マッド・マックス」のメル・ギブソンや
「ベニスに死す」のダーク・ボガードなど
は台詞ではなく顔芸で勝負している。

同様にベルイマン映画定番の女優リブ・ウルマン
この作品で官能的な動きで見事失語症の女性を
演じきった。はっきり言って一言しか語っていませんw

そして、この作品はやけに語りまくる看護師
ビビ・アンデショーンと彼女しか出てこないので
すさまじい演技合戦が、名カメラマンである
スヴェン・ニクヴィストの前で濃厚に描かれていく。

失語症の女、看護師、どちらが存在するのか?

この作品がカルトと言われるゆえんは、
アヴァンギャルドな演出と難解なストーリーにある。
畳みかけるようなモンタージュで、失語症の女性、
あるいは看護師の苦悩を描写しているのだが、
ぶっ飛んでます!んでチョーかっこいいです!
特にアヴァンタイトルのシーンは真似したいほど
クールだ!

そして深読みし甲斐のあるストーリーがまた観客を熱くする。
失語症の女性の看護に就く女性が、彼女に語りかける。
段々、看護師は自分のプライベートを赤裸々に
語るようになり、失語症の女の名を借りるようになる。

失語症の女、看護婦、どちらが実在しているのかと
観客は深読みを始める訳である。

ブンブンは、「失語症の人が存在し、看護婦は空想」
だと考えました。
最初は客観的に自問自答し、段々自分のことがわかって
来て、言葉を発したことで失語症の女は看護師
一体化し、病から解放されたそんな話じゃないかな~
と思う。アヴァンギャルドなモンタージュ描写も
失語症の女性より、映画に関するモンタージュが
強いのではやりこの路線であろう。

確かにその逆バージョンも考えられなくはない。
看護師が、自分の悩みを聞いてくれる女性に出会い
囚われていく話。でも、それならリブ・ウルマンは
一言もしゃべらない方が演出として良かったのでは?
ってかそもそも、看護師は誰と会っていたのだ?
となってしまうからアウトかな…

両方いるとは考えられない。
看護師のキチガイ話になる以前に、
ラストが腑に落ちなくなってしまうため、
やはり「失語症の人が存在し、看護師は空想」
って見方が正しいのかなと感じた。

これは本当に死ぬまでに一度は観るべき怪作でした(^_^)

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