グローリー-明日への行進-(SELMA)
監督:エバ・デュバーネイ
出演:デビッド・オイェロウォ、トム・ウィルキンソンetc
評価:70点
アカデミー賞歌曲賞を受賞した(もし獲らなかったら事故だが)
「セルマ」がいつの間にかTOHOシネマズ シャンテで
「グローリー-明日への行進-」と名を変え公開していた。
この作品は、アメリカ映画史にとって非常に
エポックメイキング名作品だ。
なんたって、すげートンチで映画史上初「キング牧師」
の人生を映画化したのだ!
女性監督のトンチ
I HAVE A DREAM…と高校の英語の授業で
必ずと言って良いほど扱うキング牧師の
スピーチ。しかし、同じ黒人差別撤廃を目指した
「マルコムX」の人生は映画化されても
キング牧師は映画化されてなかった。
アメリカでは徳川家康級に超重要歴史人物なのに。
その訳として、キング牧師の親族・関係者多数が
「I HAVE A DREAM」スピーチの著作権を持っている
らしく、全員説得する必要があったからだ。
かつて、オリバー・ストーンやスピルバーグ
等が映画化しようと
したのだが、必ずどこかで権利問題が発生して
映画化出来なかった。
そんな中、今回映画化に着手した
黒人の女性監督エバ・デュバーネイは
トンチで切り抜けた。
それが、「ラップ」でI HAVE A DREAM スピーチを
演出することだった。
歌にしてしまえば、権利問題は発生しないと
クライマックスで今回アカデミー賞歌曲賞を
受賞した「GLORY」を制作した。
そして、悲願のキング牧師映画ができた。
黒人暴動へのメッセージ
今年の初め、警官が黒人を殺した
事件に触発されてボルチモアを
はじめ激しい暴動が発生した。
そんな暴動にこの作品は語りかけている
ようだ。キング牧師は、法律的には
黒人・白人平等を保障しているものの、
いまだ差別が残っているアメリカの現状を
変えようと、セルマでデモ行進をしようと
する。警官が黒人に暴力を
ふるい、怪我をしようとも
決して暴力をふるわずに行進する
作戦を敢行する。
相手がミスするまで、
あおり相手のミスをテレビで映させる。
そうすると、仲間が増えてく。
非常に難しく、考えにくい理論だが、
暴力が暴力を生む今
こそコレを観て反省しなくてはならない。
とは言っても、反原発やその他政治
に関するデモは日本の場合、
あやど効果があったためしがない。
安保闘争ですら人々の意思が
政治に反映されない日本
でこの理論はちと難しいなと考えてしまう。
I HAVE A DREAM
この作品、非常に考えさせられ、
しかも暴動のシーンの描き方が
強烈なのだが、いまいち「I HAVE A DREAM」
スピーチをわざわざ書き換えた意図が分かりにくく
なっている。
マジで、「Glory」が使われる場所は
エンドロールであり、ちょっと
「別にいらなくね」と無礼にも思ってしまう
ほど呆気ない使われ方をしている。
しかし、トンチで50年もの沈黙を破った
監督の力本当にすげーなと感じたぞ!
「グローリー-明日への行進-」予告編
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