反恋愛主義(JUST SEX AND NOTHING ELSE)
監督:クリスティナ・ゴダ
出演:ユーディト・シェル、カタ・ドボーetc
学校の授業で観たハンガリー映画。
当時EUに入ったばかりのハンガリーが
アメリカン・ラヴコメディへの憧れあふれる
作品だ。
ハンガリーの風景、せーチェニ温泉や
地下鉄を横目に、女性脚本家が
子どもを作るために奮闘する話。
しかし、婚活をするという訳ではなく、
子どもを作るためにセフレをゲット
しようとする話だから驚きだ。
そして、ある男の扱いが
この作品の中で酷くて
かわいそうに思ったぞ!
笑い男「アリ」はつらいよ
アメリカへの憧れを描いている「反恋愛主義」。
その中で差別されている人がいる。
「アリ」だ。
彼は主人公ドラを真剣に愛しているトルコ料理屋の男、
彼は周りのどの人物よりも彼女のことを考えてくれる。
例えば、ドラからセックスの相談を受ける場面。
丁度、アリはトルコに帰る予定が入ってしまっていた。
しかし、彼は時間を工面してドラに会いに行く。
ドラが帰ってと言うと、
帰り、別の日に改めて登場する。
しかしながら、彼はドラと結ばれない。
ドラは、かつてはモテていた「ヤング≒アダルト」的女。
プライド高く、今は独身なのに意地張っている女だ。
故に、いくらアリがアタックしても突破できない。
面白い男なんだけれどね~
アメリカンコメディにおける笑い男
アメリカのコメディ映画において、
エキゾチックな登場人物や小人は愛描写を
シリアスに魅せない緩和剤としてよく使われる。
例えばアダム・サンドラー主演の
「子連れじゃダメかしら?」では、
アフリカ人が「お見合いで失敗し、
仲が悪くなった男女が旅行先でばったり鉢合わせする気まずさ」
を和らげている。そしてこの作品では、
劇団のドロドロとした人間関係にファンタジーの
側面としてアリを置くことで物語を明るくしていると言えよう。
確かに、作品自体ド・ラクロの
「危険な関係」の舞台を上映するまでの期間に、
主人公がまるで「危険な関係」同様、
好きではない人と自己欲求のために
関係を結んでいくという複雑な構成となっている。
「アリ」の要素を抜いたら、
重々しいラヴ・ストーリーになりかねない。
故に、この作品を
「CSAK SZEX ES MAS SEMMI(Google翻訳:Just Sex And Nothing Else)」
と語っている以上、
コメディを作り出す存在として
必要だったと言える。
だが、私は差別的だと感じた。
「桐島、部活やめるってよ」と比較すると、
映画部のオタク青年が「鉄男」
を観にきた同級生に惚れ、破れる。
これは、明らかに主人公が勘違い
している描写を入れているが故に
必要な要素としての「失恋」が描かれている。
具体的に同級生は「鉄男」を
観たくて映画館に入った訳ではない
描写を入れることで、
短絡的にオタク=失恋に結びつける
ことを回避している。
しかし、「反恋愛主義」ではアリに
物語上必要ではない、
包丁芸、や裸踊りを盛り込み、
最終的に「失恋」させる。
コメディ要素として使い、
必要がなくなったところで捨てるという
使用法をしているが故に差別的である。
とはいえ、前作
「君の涙ドナウに流れ ハンガリー1956」から
作風を180度変えたクリスティナ・ゴダの
力量は認めざるえない。彼女の次回作に期待である。
「反恋愛主義」予告編
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