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【ネタバレ解説】「エルネスト」オダギリジョーは凄いが物語は惜しい2つのポイント

【ネタバレ解説】「エルネスト」オダギリジョーは凄いが物語は惜しい2つのポイント

エルネスト(2017)
ERNESTO(2017)


監督:阪本順治
出演:オダギリジョー、
アレクシス・ディアス・デ・ビジェガスetc

評価:55点

金曜日から公開された阪本順治最新作。あのエルネスト・ラファエル・ゲバラ・デ・ラ・セルナ(Ernesto Rafael Guevara de la Serna)と共に闘った日系ボリビア人フレディ前村の伝記映画で、キューバとの合作だ。

もう一度言う。あのエルネスト・ラファエル・ゲバラ・デ・ラ・セルナ(Ernesto Rafael Guevara de la Serna)と共に闘った日系ボリビア人フレディ前村の伝記映画だ。チェ・ゲバラの伝記映画ではない。

その為か、公開初日TOHOシネマズ海老名 20:30の回は30人程度の動員と閑古鳥状態。先週観た「ドリーム」と比べると悲惨な駆け出しでした。

さて、私の芸名、ペンネームである「チェ・ブンブン」の由来であるチェ・ゲバラに関係する映画だとのことで観てきた。果たして、、、

「エルネスト」あらすじ

革命家として活躍したチェ・ゲバラ最後の戦闘・ボリビア革命を共に闘った日系ボリビア人がいた。彼の名はフレディ前村。チェ・ゲバラから「エルネスト」というあだ名で呼ばれた彼の半生を追う…

オダギリジョーが凄い!

オダギリジョーの豹変っぷりに圧倒されっぱなしだった。

本作の感想をFilmarksやTwitter等で読んでいると、結構否定的な評価をされている人が多い。そんな彼らも絶賛するのがオダギリジョーの演技である。「FOUJITA」で、フランス留学していた私も惚れ込む流暢なフランス語で演技していた彼が、今度は全編スペイン語で演技をしている。

これが凄まじい。もはやそこにはオダギリジョーのオの字もなかった。完全にフレディ前村もとい日系ボリビア人そのものだ。日本人の血筋を引きながらもボリビア人として生き、異国キューバで勉学を積むという、一般人には想像もつかない世界観、複雑な人物像を見事に体現していたのだ。

国際はスターと言えば、渡辺謙とか真田広之などがいるが、あやどが英語での演技で評価されている。オダギリジョーのように、フランス語でもスペイン語でもここまで繊細な演技ができ、しかも俳優である自分の仮面を破り去ることのできる役者はいただろうか。実際にキューバでオダギリジョーにあったら、日本人であることすら気づかないだろう。それぐらいの豹変っぷりは、これは私的アカデミー賞主演男優賞ものだ。

過不足が多すぎる物語

しかし、チェ・ブンブンはこの「エルネスト」に苦言を呈したい。一見緻密な描き方をされているように見える「エルネスト」は、非常に過不足が多い歪な作品だ。今回は、本作が傑作になれなかった惜しいポイントを2つについて語っていく。

惜しいポイント1:フレディとカストロ、チェ・ゲバラの関係が分かりにくい

まず、なんと言っても、肝心なフレディ前村とカストロ、チェ・ゲバラの関係性が、観辛いものとなっているのだ。

いきなりキューバの医大で、ボリビア留学生を取り仕切り、政治グループのまとめ役として活動するフレディにカストロから手紙が来る。

チェ・ゲバラと最初に会うシーンが、説明を省きすぎて奇妙に見える。特に後者は、フレディとチェ・ゲバラがあたかも何度か会っているように見えるが、後々シーンでチェ・ゲバラがフレディを認識していなかったことが分かる。明らかに説明不足だ。

惜しいポイント2:チェ・ゲバラの日本訪問シーンでズレる軸

ただ、一番問題なのは、冒頭のチェ・ゲバラ広島訪問シーンだ。

千羽鶴の佐々木禎子らしき人物に会ったり、資料館を訪問したりするところをじっくりと描く。そしてチェ・ゲバラは「君たちはアメリカにあんな酷いことされたのに何もしないのか!」と語る。

この一連のシーン自体は見応えあるのに、後のフレディ前村の人生と上手くリンクしていない。つまり物語としての軸がズレてしまっているのだ。

フレディ前村は二世として、日本人の血筋を引きながらもボリビア人として生きている。そんな彼は、自分の村の貧困に心を痛め、医者になろうとキューバに留学。

恐らく政治的意思もありキューバに留学したとは思うが、演出を観る限り、水害とか貧困が彼を動かしたようにしか見えない。そうなるとチェ・ゲバラの台詞がストーリーと噛み合わなくなる。

しかもフレディ前村が革命家になる過程は、チェ・ゲバラと非常に似ている。何が言いたいかというと、チェ・ゲバラも医者を目指し、その過程で革命家になったということ。チェ・ゲバラ物語を冒頭に持ってくるなら「モーターサイクル・ダイアリーズ」の頃の彼を描く必要がある。

あるいは、チェ・ゲバラを神聖化するなら、最初から見せてはいけない。

結局、フレディ前村がゲリラになった後の活動も、予算の関係か中途半端な形でしか描かれておらず、観ていて面白いのだが不満も多い作品でした。

最後に…

こうも酷評気味となってしまったが、本作はよくある海外で頑張る日本人賞賛番組のような作りになっていないところは大いに褒めるべき部分であろう。フレディ前村はあくまで一人のボリビア人として描かれ、ボリビア人としての葛藤を中心としている。下手に日本人の血筋がどうこうという描写がないのが良かったりする。

そしてオダギリジョーの演技は役者を目指している人全員がお手本にすべきものだ。ということで、お時間があれば是非劇場でウォッチしてみてください。

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