レニリーフェンシュタール

2021映画

『レニ』逃げ場がない人間の行動心理

東京五輪ですね。よくあるギャングスタ映画の栄枯盛衰を観るかのごとく、日に日にフィクションを超えた崩壊っぷりを魅せている。開会式で楽曲制作を担当したミュージシャンの小山田圭吾が過去に雑誌のインタビューでイジメについて告白していたことが明らかとなり、大炎上し開会式数日前に辞任を表明する事態となっている。さて、アーティストが過去の罪を払拭できるのか?といった問題を考えた時に、レニ・リーフェンシュタールのことが頭に浮かぶ。彼女はナチスドイツに見出され、ヒトラーの右腕監督としてプロパガンダ映画を制作した。実質無限ともいえる潤沢な予算を使って、全国党大会を収めた『意志の勝利』や1936年ベルリンオリンピックを撮った『オリンピア』を製作した。後者は、様々な技巧を凝らし映画史に残る傑作となった。しかし、ナチスドイツのプロパガンダに協力したということで長年、社会に罪を追及され映画が撮れなくなってしまった。さて、晩年の彼女にインタビューした映画『レニ』がある。第69回キネマ旬報ベスト・テンにも選出された作品であるが、数年前までは渋谷TSUTAYAにVHSがあるくらいで観る手段がなかった。