評価

2021映画

『みんなのヴァカンス』ギヨーム・ブラックは『おおかみこどもの雨と雪』がお好き

夏ですね、大人も夏休みですね。夏といえばバカンス映画ですね。数週間の休暇を取る文化があるフランスでは、毎年のようにバカンス映画が量産されている。カイエ・デュ・シネマの批評家もバカンス映画には目がなく、年間ベストにねじ込む傾向がある。さてエリック・ロメールはもはやおらず、ジャック・ロジエも映画を作らなくなってしまった時代のバカンス映画のスター監督は誰か?恐らく、ギヨーム・ブラックだろう。彼の作品は、ジャック・ロジエ映画に登場する女々しい男の目線でナヨナヨしたバカンス映画を撮る傾向がある。この気持ち悪さが癖になる監督だ。さてそんな彼の新作『À L’abordage』。フランス語で、「搭乗」、「偶発的な衝突」、「船が海岸に近づく行為」を示す言葉とのこと。ワンナイトラブをしてすっかり惚れ込んだ男が、彼女のいる場所に近づく。一緒について行った友人が別の女と邂逅、親密になると言う内容を暗示したタイトルになっているのであろう。ということで観てみました。

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『ドント・ブリーズ2』ドント・ブリーズでなければ良かったけど…

2016年に話題となったホラー映画『ドント・ブリーズ』まさかまさかの続編がやってきました。目が見えないのに最強の老人の手によって血祭りに挙げられる若者を描いた異色作。一発芸的面白さを続編はどう乗り越えるのかが課題となってきます。しかし、予告編を観ると主人公はスティーヴン・ラング演じる老人ではありませんか。前作を思い返すと、変態爺さんだった記憶があり、ヒーローに持ってくるにはなかなか難しい状況。いつもであれば公開前にインフルエンサーたちの熱い評がTwitterを賑わせるのですが、それが全く確認できなかった。一抹の不安を抱えて観たのですが、これが厄介な映画でありました。

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『マンディブル 2人の男と巨大なハエ』うさんぽの次は「ハエんぽ」だ!

殺意を持ったタイヤを描いた『ラバー』、語りかける革ジャンを描く『ディアスキン 鹿革の殺人鬼』と変わった映画を撮り続けるフランスの《クエンティン》ことカンタン・デュピュー新作はハエ映画だった。今年は『GUNDA』、『ジャッリカットゥ 牛の怒り』、『セミマゲドン』と動物映画が熱いのですが、このハエ映画はいかがだろうか。実際に観てみました。

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【Netflix】『人魚伝説』不条理のピタゴラスイッチの末に生まれた人魚

今年の初めの方にclubhouseでオススメされた日本映画『人魚伝説』。Netflixにあることは前々から知っていたのですが、本業が忙しく中々観られなかった。夏休みなので観てみたのですが、これがめちゃくちゃ面白かった。『狂い咲きサンダーロード』や『太陽を盗んだ男』に匹敵するパワフルなアクション映画でした。

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【ネタバレ】『キネマの神様』私はつらいよ

志村けんが新型コロナウイルスの犠牲となり、製作が危ぶまれた山田洋次最新作『キネマの神様』。映画芸術の人は山田洋次映画をパブリックエネミーとして敵視しているけど、私は山田洋次監督のコテコテの人情喜劇は好きだ。昭和のオムライスを食べに行く感覚で毎回映画館へ駆けつける。しかしながら、この『キネマの神様』を観て彼に大きく失望した。自分の信じていた人に裏切られたような気持ち、ワーニャのような怒りがフツフツと沸き起こってきた。