『トゥギャザー』結婚とは逃れられない儀式だ

トゥギャザー(2025)
Together

監督:マイケル・シャンクス
出演:アリソン・ブリー、デイヴ・フランコ、デイモン・ヘリマン、カール・リッチモンドetc

評価:65点


おはようございます、チェ・ブンブンです。

Xで話題となっているボディーホラー『トゥギャザー』を観てきた。ここ最近、『溶解人間』や『ソサエティー』のような趣のあるボディーホラー。CGは使えども、どこか手作り感のあるキメラ造形が登場する映画が増えている気がする。本作もその系譜にある一本であった。

『トゥギャザー』あらすじ

超自然的な身体の変異現象に見舞われた倦怠期のカップルが極限状況に陥っていく姿を、スリリングかつブラックユーモアたっぷりに描いたホラー映画。本作が長編デビュー作となるオーストラリア出身のマイケル・シャンクスが監督・脚本を手がけ、恐怖映画のサブジャンルであるボディホラーと、恋愛における共依存というテーマを融合させて描き出す。

長年連れ添ってきたミュージシャン志望のティムと小学校教師のミリーは、住み慣れた都会を離れて田舎の一軒家に移り住む。しかし森で道に迷い、不気味な地下洞窟で一夜を過ごしたことをきっかけに、ふたりの穏やかな日常は暗転。ティムは突然意識が混濁して身体が暴走する不可解な症状に悩まされるようになり、気持ちがすれ違いがちだったミリーとの関係も揺らいでしまう。やがて、ミリーの身にも同じような症状が起こりはじめる。見えない磁力に引き寄せられるかのように互いを求めあうその現象は、ふたりが育んできた愛と人生のすべてを侵蝕していく。

映画.comより引用

結婚とは逃れられない儀式だ

近年、A24やNEONが気を衒い過ぎて空回りしているホラーを量産しているイメージがある。しかし、本作はストレートである。正直、映画の展開に新規性はほとんどなく、完全なる予定調和で進んでいく。しかし、予定調和の中で肉体をどのように変化させていくのかといった探求の面白さに惹き込まれる。もちろん、現代の映画なのでコンセプトは堅い。

要するに結婚における不安を吊り橋効果で乗り越えていく現実の物語を位相ずらして描いているのだ。35歳になってもプロのロックミュージシャンを目指しているティムと楽興教師として堅実に歩んでいるミリー。彼女は知り合いたちの前で感動のプロポーズ的なことをするのだが、奥手故に場の空気をティムが粉砕してしまう。仲こそ良い。しかし、このまま結婚し人生を共に歩んでいけるのだろうか。漠然とした不安が夜の営みですら遠ざけてしまっている。そんな二人は、田舎の新居へと引っ越すのだが、森を彷徨っている中で穴に落ち、湧水を飲んだことから身体に異変が生じてくる。結婚したら、離れたくても離れられない強く惹かれ合い、それによって困難が生じてくる。それに対する不安を受容していく過程を本作は荒唐無稽に描いている。

ミリーが車を走らせると、ティムが白目を向いて彼女を求めようとする場面や、不動のオブジェクトにしがみつき、合体しないように耐えようとするものの、映画内の物理法則によってぐんにゃり肉体が曲がっていき合体していく過程が面白く、ジャンル映画のあるべき姿を魅せてくれた。

また、本作は結婚というシステムの本質を何気についている。ふたりは漠然とし明確に認知できていない社会の中で結ばれていく。やがて、それが宗教によるものだと気づかされる。自分たちの結びつきは自分の意志ではなく社会によって行動させられたものであったことを認知し嫌悪を抱くも、その上で結びつく選択をする。それこそが恋愛であり結婚であると締めくくっている。この視点は見事に感じた。