雪子 a.k.a.(2025)
監督:草場尚也
出演:山下リオ、樋口日奈、占部房子、渡辺大知、石田たくみetc
評価:60点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
2025年の追い込みで話題となったインディーズ邦画『雪子 a.k.a.』を観た。『SR サイタマノラッパー』に近い印象があったので観よう観ようと思っていたのだが、悉く見逃していた。たいていそういう映画は観ても外すことが多いのだが、本作も例に漏れず合わなかった。
『雪子 a.k.a.』あらすじ
30歳を前に人生に迷った小学校教師の女性が、ラップを通して自分と向きあっていく姿を描いた人間ドラマ。
記号のように過ぎていく毎日に漠然とした不安を抱えている29歳の小学校教師・雪子。不登校児とのコミュニケーションも、恋人からのプロポーズに対しても、本音を口にすることを避け、答えを出せずにいる。好きなラップをしている時だけは本音を言えていると思っていたが、思いがけず参加したラップバトルでそれさえも否定され、立ち尽くしてしまう。いい先生、いいラッパー、いい彼女になりたいかと自問自答を重ねながら、30歳の誕生日を迎える雪子だったが……。
「あのこは貴族」などの山下リオが雪子役で主演を務め、雪子の同僚教師役で樋口日奈と占部房子、恋人役で渡辺大知、友人役で剛力彩芽、父親役で石橋凌が共演。劇中で雪子が披露するリリックを、ラッパーのダースレイダーが書きおろした。「スーパーミキンコリニスタ」でPFFアワード2019日活賞とホリプロ賞をダブル受賞した草場尚也監督の劇場映画初監督作。
言語プロセッサーをクリーンナップせよ
生徒、同僚、保護者との板挟みで悶々とする小学校教師の雪子は、本音をリリックとして抱えていた。ひょこんなことからラップバトルへ参加することになるのだが、そこでも自分の言葉を巧く編み込むことができず実存の危機に陥る。
まず、冒頭で黒板に書きなぐった黒板が表示される。雪子の心象世界と現実とをシームレスに描いていく演出に惹かれるものがある。また『SR サイタマノラッパー』シリーズとは異なり、言葉を編み込むこともままならない素人が自分のモヤモヤを言語化しようとする過程にフォーカスが当てられており、ラップバトルもSOUL’d OUTのような超絶技巧といった感じではなくライバルも含め拙いあくまで市民のラップを中心としており、友情努力勝利の物語ではない。
言語化の時代ではあるが誰しもが自分が抱える複雑性を言語化できるわけではない。だが、下手でも自分の言葉で複雑さを捉えようとすることが重要であることを本作は謳うのだ。ただ、理論としてはよいものの、ラップトラップの間の物語パートにおけるショットに面白さがなく退屈してしまった。












