【YIDFF2025】『ガザにてハサンと』ガザの記憶と記録

ガザにてハサンと(2025)
With Hasan in Gaza

監督:カマール・アルジャアファリー

評価:60点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

山形国際ドキュメンタリー映画祭インターナショナル・コンペティション部門で上映される『ガザにてハサンと』を観た。

『ガザにてハサンと』概要

ある日見つけたビデオカメラ用の古い録画テープ。再生すると、ガザを旅する自分自身の姿があった。映画作家は、テープの表面に記された〈ハサン、ガザ、2001〉を頼りに記憶を辿り、その旅が、若き日に理不尽な理由で刑務所に収監された折の同房者を探す旅だったことを思い出す。1989年の監房の記憶と2001年のガザの記憶。二度のインティファーダに連なる過去の記憶がガザのいまに接続され、終わることのない痛みを呼び覚ます。不条理を問い歴史の忘却に抗うための思索の旅。

※山形国際ドキュメンタリー映画祭より引用

ガザの記憶と記録

2020年代のトレンドは高画質なイメージの対極としてのフィルムのイメージを通じた過去へのアクセスの変容といったところにある。つまり、携帯電話などのデバイスを用いた低画質のイメージが過去と繋がるアプローチである。本作はカマール・アルジャアファリーが発掘したイメージを通じてガザの歴史へと意識を向ける話である。基本的に食宅のようなところに座り、話している様子を回線の悪い状況でのオンラインミーティングのような画質で描いているため、劇場で観ると厳しいものがあるのだが、この低画質が忘れかけていた記憶を記録していくことの大切さを強調することとなっており興味深く感じた。