【YIDFF2025】『亡き両親への手紙』牧歌的な風景の中で

亡き両親への手紙(2025)
Letters to My Dead Parents

監督:イグナシオ・アグエロ

評価:50点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

山形国際ドキュメンタリー映画祭で『100人の子供たちが列車を待っている』のイグナシオ・アグエロ新作『亡き両親への手紙』が上映されるので観た。

『亡き両親への手紙』あらすじ

自宅の窓から空を覗き、庭の植物や猫、小鳥を映しながら、映画作家は亡くなって久しい両親について語る。軍事政権下で作った最初の映画にエキストラ出演した母、チリで最も活発だった労働組合に所属していた父。映画は、かつての父の同僚の証言をはじめ、父が撮影したフィルム映像や映画作家の過去作からの引用、私的な家族の記録映像などを織り交ぜて、チリの人々が経験してきた過酷な歴史をプライベートな記憶へと合流させる。逸脱や中断を繰り返し、夢と現実を行き来する映画作家の語りは、死者と生者が出会う未完のアーカイブを形づくる。

※山形国際ドキュメンタリー映画祭サイトより引用

牧歌的な風景の中で

本作は自宅から撮影された牧歌的なネコや自然の風景と交差させるようにチリの軍事政権下を生きた両親の記憶を、映画や過去のフッテージを挿入させながら描く作品。いわゆるエッセイ映画であり、オーソドックスな作りとなっている。牧歌的な風景が対位法のように用いられ、凄惨な歴史を浮かび上がらせるわけだが、この技法自体は定石であり、その技法以上のものが出てこないため、陳腐に感じてしまった。