アラビアのロレンス(1988)
LAWRENCE OF ARABIA
監督:デヴィッド・リーン
出演:ピーター・オトゥール、アレック・ギネス、オマー・シャリフ、アンソニー・クイン、ジャック・ホーキンス、アーサー・ケネディ、クロード・レインズetc
評価:70点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
note創作大賞2025用の企画記事「【上映時間3時間以上】超長尺映画100本を代わりに観る」に向けて『アラビアのロレンス』を再鑑賞したのでレビューしていく。
『アラビアのロレンス』あらすじ
アラブ民族独立に尽力した実在のイギリス陸軍将校T・E・ロレンスの波乱に満ちた半生を、「大いなる遺産」の名匠デビッド・リーンが壮大なスケールで描いた不朽の名作。20世紀初頭、アラビアはドイツと同盟を結ぶトルコの圧政下にあった。イギリス陸軍カイロ司令部に勤務するロレンス少尉は、トルコからの独立を目指す反乱軍の指導者ファイサルに会うため旅に出る。反乱軍の無力さを目の当たりにしたロレンスは、アラビア民族をまとめあげてゲリラ戦を展開し、見事トルコ軍を打ち破ることに成功。その後も次々と勝利を収めていくが、その一方でロレンスはアラブ人同士の争いや国同士の政治的駆け引きに翻弄されるようになっていく。当時まだ無名だったピーター・オトゥールが主人公ロレンスを熱演。共演は「戦場にかける橋」のアレック・ギネス、「炎の人ゴッホ」のアンソニー・クイン、「ドクトル・ジバゴ」のオマー・シャリフ。1963年・第35回アカデミー賞で作品賞・監督賞など7部門に輝いた。
傀儡からの卒業
砂漠をひたすらラクダで突き進む。やがて井戸を見つけ、水を汲んでいると、地平線の彼方から黒服の男が近づいてくる。蜃気楼のため、遠いのか近いのかわからないが確実にこちらへ向かってくる。彼は敵か味方か?ジッと眼差しを向ける中で、案内人タファスは敵と判断し撃ち抜こうとするが、逆に射殺されてしまう。ロレンスは足が凍り付き動けなくなる。目の前で死を突き付けられた際に人は動けなくなり、その中で絞り出すように言葉が発せられる様を時間かけて描く。
映画的なショットで紡がれる歴史超大作『アラビアのロレンス』は、英雄の中に流れる複雑な心理的変化。英雄の孤独を左から右へひたすら砂漠を移動する運動でもって表現している。アラブ世界の連帯を訴えかけトルコ軍に打ち勝とうとする。トーブに身を包んだロレンスは反乱軍を指揮する者としてフロントラインに立つわけだが、純白は血と複雑な政治によって染められていく。
彼は結局政治の駒でしかなく、アラブ世界に異物としている白人としてのロレンスは切り捨てられる運命にあったのだ。だからこそ、冒頭の死はある意味ハッピーエンドのように思える。歴史によって傀儡のように動かされてきたロレンスが、バイクで爽快に走る。ようやく得た自由の中での死だからだ。
※映画.comより画像引用