ハニートラップ 大統領になり損ねた男(2014)
Welcome to New York
監督:アベル・フェラーラ
出演:ジェラール・ドパルデュー、ジャクリーン・ビセット、ポール・カルデロン、ポール・ヒップ、クリスト・ゾイス、シャニン・リーetc
評価:60点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
アベル・フェラーラ未観の『ハニートラップ 大統領になり損ねた男』がU-NEXTに来ていたので観た。
『ハニートラップ 大統領になり損ねた男』あらすじ
2011年5月、元IMF専務理事ドミニク・ストロス=カーンがニューヨークで性的暴行・強姦未遂容疑をかけられた事件をモチーフに、「バッド・ルーテナント 刑事とドラッグとキリスト」のアベル・フェラーラ監督が映画化。フランスの大物政治家デベローは、次期フランス大統領選挙における社会党の有力候補とされていた。しかしニューヨークに滞在中、ホテルの従業員に性的暴行を加えたとして訴えられ、身柄を拘束されてしまう。「あるいは裏切りという名の犬」「シラノ・ド・ベルジュラック」のジェラール・ドパルデューが主演し、「映画に愛をこめて アメリカの夜」のジャクリーン・ビセットが妻役を演じた。2015年1~2月、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷で開催の「未体験ゾーンの映画たち 2015」上映作品。
アベル・フェラーラのカフカ
実録汚職ものかと思ったら突然アラン・カヴァリエ『Pater』みたいなメタ政治演技の話に切り替わり困惑するも、一貫してアベル・フェラーラのドライな都会像が浮かび上がる。
どう考えても真っ黒な政治家が性加害を巡って逮捕される。あれだけ地位が高かったにもかかわらず、逮捕されれば事務的に処理されていきジェラール・ドパルデューの「それでも俺はやっていない」といった言葉が虚空に共鳴する。アメリカ映画は役割の受容の物語であると自分は定義しているのだが、まさしくフレデリック・ワイズマン作品のように、それぞれの登場人物が自分の役割を全うするためだけに存在し、そのノイズとなる言葉は跳ね返していく。
人に囲まれているようで冷酷な社会の中で生かされている男の祈りが映画全体に立ち込めていた。それはフランツ・カフカのような世界であった。
※映画.comより画像引用