最後の手紙(2002)
La Dernière Lettre
監督:フレデリック・ワイズマン
出演:カトリーヌ・サミィ
評価:50点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
アテネ・フランセのフレデリック・ワイズマン特集で数少ない劇映画『最後の手紙』が観られるということで観てきた。60分と短い時間ながら、ウトウトしてしまったのが悔しい一本であった。
『最後の手紙』あらすじ
ワイズマンが、コメディ・フランセーズの女優カトリーヌ・サミィのために脚色したワシーリー・グロスマンの小説「人生と運命」の一章を映画化した作品。1941年のウクライナ、ゲットーのユダヤ人はナチによって全員殺されることになった。年老いた女医アンナ・セミョーノワは、息子に宛てた手紙を口述筆記する。自分の人生を振り返り、死と立ち向かう女性の恐怖、勇気、弱さ、そして威厳が浮かび上がる。
※アテネ・フランセサイトより引用
ワイズマン、独り芝居を撮る
本作はコメディ・フランセーズの女優カトリーヌ・サミィのためにワシーリー・グロスマンの小説「人生と運命」の一章を映画化したもので、カトリーヌ・サミィがひたすらテクストを読み上げていく作品である。
彼女の身体全体、暗闇によって浮かび上がる無数の影、そして涙する瞬間のアップと短い時間ながらスタイリッシュにカットを割っていき、低予算映画でありながらリッチな画が生まれている。そこで語られるのは、ホロコーストの話なのだが、「ホロコースト」というカテゴリーの中で個は群として取り込まれてしまう様が語られており、その状況から個の物語を取り返そうとする話のように思える。
それを踏まえると、影と対話するカトリーヌ・サミィに重要な意味があり、ホロコーストの物語として個が剥奪されていく様を無数の影が象徴しているといえるのである。正直、面白くはないが理論は興味深いものがある。