スイート・イースト 不思議の国のリリアン(2023)
The Sweet East
監督:ショーン・プライス・ウィリアムズ
出演:タリア・ライダー、サイモン・レックス、ジェイコブ・エロルディ、アール・ケーブetc
評価:20点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
サフディ兄弟の撮影で知られているショーン・プライス・ウィリアムズ長編デビュー作。撮影監督による長編デビュー作は昨年の『Eephus』の例があるので打率が良いだろう。しかもカンヌ監督週間でお披露目された作品と聞き、ハードルを上げて観たのだが、これが「なんだこれ?」映画であった。
『スイート・イースト 不思議の国のリリアン』あらすじ
物憂げな少女リリアンが繰り広げる、現代アメリカの闇を巡る奇妙な旅を描いたドラマ。
サウスカロライナ州の高校3年生リリアンは、恋人トロイや親友テッサ、アナベルら同級生たちと一緒に、修学旅行でワシントンD.C.を訪れる。どこか物憂げなリリアンは、はしゃぐ同級生たちを冷めた目で眺める。夜、皆でカラオケバーへ繰りだした彼女たちは、陰謀論に取り憑かれた男による銃乱射事件に巻き込まれてしまう。派手なパンクファッションのケイレブに導かれて店のトイレに逃げ込んだリリアンは、大きな鏡の裏にある“秘密の扉”から地下通路を通って旅に出る。
「17歳の瞳に映る世界」のタリア・ライダーが主演を務め、「レッド・ロケット」のサイモン・レックス、「プリシラ」のジェイコブ・エロルディ、「ハロルド・フライのまさかの旅立ち」のアール・ケイブが共演。「神様なんかくそくらえ」などニューヨークのインディペンデント映画界で20年以上にわたり活躍してきた撮影監督ショーン・プライス・ウィリアムズが長編初メガホンをとった。
ポストA24的なにか
邦題は「不思議の国のアリス」を文字っているのだが、ポストA24映画、ポスト・アリ・アスターと言った方が妥当だろう。ガイ・マディン的悪夢描写(アリ・アスターが影響受けている監督)、スマホやPCノイズといった非映画メディアとの掛け合い、風変わりな作風。A24ショップに並びそうなデザインで映画は進む。
その肝心な内容は、バーのような場所ではしゃいでいたら『パルプ・フィクション』よろしくおばさんが銃をぶっぱなし、逃げるように穴を潜り抜け、不思議の国、アメリカアンダーグラウンドへ迷い込むといった内容。ガイ・マディンがやるようなサイレント映画風チャプターわけで、猥雑混沌とし、ラリッたような映像が続くのだが、これが一発芸的な感じであまり面白くない。ちょうど直前にロジャー・コーマン『白昼の幻想』を観ていたのだが、大して変わりない。要はインターネット社会になり、瞬間的刺激が氾濫する中での電子ドラッグ像として本作は、動きが遅いし、二番煎じな尖り方をしているだけなのだ。面白いと思った唯一の連鎖殺戮シーンも『ボーはおそれている』をそのまま持ってきたような感じがして、正直がっかりであった。