『脳漿炸裂ガール』二次会に五反田で焼き肉はしません

脳漿炸裂ガール(2015)

監督:アベ ユーイチ
出演:柏木ひなた、春花、上白石萌歌、志田友美、荒井敦史、菅谷哲也、浅香航大etc

評価:30点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

2025年上半期の注目作に『劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク』がある。音ゲーの映画化であり、ボカロ文化の象徴ともいえる初音ミクを題材としている作品だ。ふとボカロの映画について考えた際に『脳漿炸裂ガール』を観ておくべきだろうと考え、U-NEXTで観てみた。どう考えても酷い映画なのだが、一部に光るものがある珍作であった。

『脳漿炸裂ガール』あらすじ

ニコニコ動画で再生回数が4000万回を超え、その世界観をもとに小説版も出版された人気ボーカロイド楽曲「脳漿炸裂ガール」を実写映画化。主演は、人気アイドルグループ「私立恵比寿中学」の柏木ひなた、「映画 暗殺教室」「ホットロード」などに出演する若手女優の竹富聖花。小さな頃から憧れていたお嬢様学校・聖アルテミス女学院に入学した市位ハナは、教室で目を覚ますとクラスメイトと一緒に檻に閉じ込められていた。そこで突然、携帯電話を使った謎のゲーム「黄金卵の就職活動」が始まるが、それは脱落すると脳漿が炸裂するという生死をかけたサバイバルゲームだった。ハナは同級生の稲沢はなと一緒に勝ち進んでいくが……。

映画.comより引用

二次会に五反田で焼き肉はしません

メタバースやVTuberが普及している2024年に「脳漿炸裂ガール」を聴くと弱者が社会の荒波に吞まれながら美少女に対する羨望の眼差しを向けるような内容と解釈することが容易であり、映画化するなら美少女アバターを纏ったりバ美肉を使って配信者になる様を描く作品になるであろう。2015年当時は今と全く異なる時代であったことを考慮したとしてもこの解釈違いはなんだろうと「?」が浮かぶ内容となっている。

セレブ女学園を舞台にした百合展開は百歩譲ったとして、どう考えればデスゲームものになるのだろうか?申し訳程度のガラケー、マカロン要素に頭を抱える。二次会に五反田で焼き肉しているんだから、大学生か若手会社員の話、あるいはアイドルの打ち上げのことなんじゃないかと思っていただけに開幕早々雲行きが怪しくなる。

デスゲームの最初の問題は脱出ゲームにありそうなそこそこレベルの高い問題で惹きこまれるも、その後は雑な展開が続くどころか、70分しかないクセに省略しまくるRTAっぷりを発揮するもんだから目も当てられない。

しかし、一か所面白いところがあって、それが銃撃戦である。ガンアクションだけがゴリゴリに映画的快感と理論に裏打ちされた運動が行われているのである。たとえば、刺客に追われて逃げる学生をヒロインが目撃する場面。結果から目撃することになるのだが、その後の銃殺→階段落ちで、被害者のプロセスを追体験させられる導線には感動した。

こういった妙に凝った演出込みで変な作品であった。
※映画.comより画像引用