捕えられた伍長(1961)
監督:ジャン・ルノワール
出演:ジャン=ピエール・カッセル、クロード・ブラッスール、クロード・リッシュ、ジャン・カルメetc
評価:80点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
カイエ・デュ・シネマのベストに選出されたジャン・ルノワール『捕えられた伍長』を観たら、びっくりするほど『大脱走』で驚かされた。
『捕えられた伍長』あらすじ
40年6月、フランスはヒットラーのドイツ軍に敗れ、休戦条約が成立した。ある捕虜収容所に抑留された五人のフランス兵たち--伍長(ジャン・ピエール・カッセル)、バロシェ(クロード・リッシュ)、エミール(ジャン・カルメ)、カルーソ(マリオ・ダヴィッド)、電気屋(フィリップ・カステリ)、そして伍長の腰巾着パテル(クロード・ブラッスール)。彼らは使役のかたわら、秘かに脱走を計画し、ひとつ失敗しては、また別の方法で脱走を試みていた。しかし何度も挫折を重ねるうちに、次第に兵士たちはバラバラになってゆく。
ジャン・ルノワールの大脱走
脱走しては捕まってを繰り返すことでクリシェを形成し、そのパターンで面白さや切なさを引き出す。まさしく『大脱走』である本作だが、『大脱走』にない要素も持ち合わせていた。それはロングショットと室内ギミックの豊富さである。「トイレに行ってくる」と言って、外にぽつんと設置されているトイレへ向かう。これをロングショットで捉える。それにより、観客に彼らがどのように脱出するのかを予測させる筋道を与える。実際に、近くに停まっていたトラックを使うことになるのだが、そのトラックは外へ行くものではなく、土砂を運ぶだけのもので脱出に失敗する。また、土砂を運ぶ施設内が工場見学好きにはたまらないほど入り組んでおり、これが脱出への好奇心を掻き立てていく。そして計画、脱出、捕獲をひたすら繰り返していき、不屈の精神から来る熱さがどんどん面白さへと繋がっていく。ジャン・ルノワールはそこまで認識していない監督であったが、めちゃくちゃ面白い監督だなと感じたのであった。
※MUBIより画像引用