狼チャイルド(2017)
原題:As Boas Maneiras
英題:Good Manners
監督:マルコ・ドゥトラ、フリアナ・ロハス
出演:イザベル・ズア、マルジョリエ・エスチアーノ、ミゲウ・ロボ、シダ・モレイラetc
評価:70点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
第37回東京国際映画祭にマルコ・ドゥトラ新作『死体を埋めろ』が上映される。そこで予習として『狼チャイルド』を観た。邦題がガッツリネタバレしているのだが、それも仕方がないほどに前半1時間は退屈であった。一方で、本作は珍しく後半にいくに従って面白くなるタイプの作品であった。
『狼チャイルド』あらすじ
2017年シッチェス映画祭で批評家賞、ロカルノ映画祭で審査員特別賞を受賞したファンタジーホラー。サンパウロ郊外に住む若い看護士クララは、裕福でミステリアスな女性アナのお腹の中にいる赤ん坊の乳母として雇われ、住み込みで働きはじめる。屋敷内で不可解な出来事が続発する中、クララとアナは強い絆で結ばれていく。ある満月の夜、突如として屋敷内にアナの叫び声が響き渡る。なんとアナのお腹の中にいる赤ん坊は狼男で、彼女の腹を引き裂いて生まれたのだった。アナは亡くなり、クララはその赤ん坊を引き取って自分の息子として育てはじめるが……。「シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション2018」(18年10月12日~/東京・ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて開催)上映作品。
ラストショットに爆笑
前半1時間は白人の妊婦を黒人女性が面倒観る内容となっている。レズビアン映画のような趣で描かれているのだが、非常に鈍重な作りになっているのでイマイチ何をしたいのかが飲み込みづらい。これは、イマイチかと思って観ていると、エイリアンが如く腹を引き裂き、狼こどもが爆誕する。
映画はそれから何年かが経ち、小学生になった彼の生活を映し出す。夜になると、毛が彼を覆いつくし、完全に覆われると狼となってしまう。そのため、黒人女性は彼を縛り付けて監禁状態にしている。午前中は毛を全て剃り、学校へ通わせている。
そんな異様な生活に少年自身、違和感を持っているようで、自分の父親はどこにいるのかと思うようになる。ある日、友人と一緒に家出をして父親を捜すことになるのだが、これが大惨事へと繋がっていく。
正直、あまりにも雑な作りとなっており、集団パニックものとして盛り上がる一歩手前で終わってしまう物足りなさはあるのだが、まるで打ち切り漫画の最後のコマのような清々しすぎるクライマックスに爆笑した。マルコ・ドゥトラ監督のトリッキーさを踏まえると、新作への期待が高まる。
※映画.comより画像引用