ユニコーン・ウォーズ(2022)
Unicorn Wars
監督:アルベルト・バスケス
評価:70点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
数か月前から自分の周りで話題となっていたグロテスクアニメ『ユニコーン・ウォーズ』。町山智浩もラジオで取り上げていたのだが、彼が語っていたイメージと若干異なる空気感であり、いい意味で裏切られた。
『ユニコーン・ウォーズ』あらすじ
「サイコノータス 忘れられたこどもたち」で知られるスペインのアニメーション作家・漫画家のアルベルト・バスケスが、テディベアとユニコーンの聖戦を通して“分断による争い”の無意味さを描いたダークファンタジー。
不気味さとかわいさを兼ね備えた作風でコアな人気を集めるバスケス監督が、2013年に手がけた短編アニメ「Unicorn Blood」を自ら長編アニメ化し、第37回ゴヤ賞で最優秀長編アニメーション映画賞を受賞した。
魔法の森に住むテディベアとユニコーンは、先祖代々にわたって戦いを続けてきた。テディベア軍の新兵訓練所で特訓の日々を送るアスリンと双子の兄ゴルディは、消息を絶った部隊の捜索のため森へ向かうが、そこで危険な生物や無残な姿となった隊員たちを発見。彼らの聖書に記された「最後のユニコーンの血を飲む者は、美しく永遠の存在になる」という言葉を信じ、ユニコーンの生息する森の奥深くに足を踏み入れるが……。
幼少期の軋轢と戦争が悪魔合体
ユニコーンと動物連合軍が対立する世界。動物連合軍ではひよっこな動物たちが日夜厳しい訓練を積んでいた。そこに、双子の兄弟がいる。一匹は好戦的で嫉妬深くもう一匹は優しい性格故弱弱しい。戦場の中で、大勢が亡くなり、双子だけとなり、そこからさらに厳しい茨道を歩むこととなる。
てっきり、個対個のミクロな対立が戦争というマクロな対立に発展する関係を描いているのかと思いきや、ミクロな目線が「子ども特有の嫉妬」となっているところが興味深い。子ども映画風のタッチなのか、王道のネタをフックとしているのだ。
数分後に生まれてきたが故に、親の愛情を十分に受けていないと感じ嫉妬する。それが兄に対するあたりの強さとなっているのだが、同時に血として繋がっているが故の守ってあげたい気持ちが葛藤として対立していく。これと戦争との関係性がうまく租借できないものの面白い観点であった。
また、ユニコーンを常時影として描くことで、内なる仮想敵によって他者を知ろうとせず思い込みで攻撃をしてしまう状況をメタファーに包み込めているところが良かった。
それにしても第三勢力のサル軍団はどういう役割なのだろうか?
数日経った今もよくわからないものがある。