『虹を掴む男』今だと統合失調症の深刻な物語になるだろう

虹を掴む男(1947)
THE SECRET LIFE OF WALTER MITTY

監督:ノーマン・Z・マクロード
出演:ダニー・ケイ、ヴァージニア・メイヨ、ボリス・カーロフ、フェイ・ベインターetc

評価:65点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

Prime Videoに『LIFE!』の元ネタである『虹を掴む男』があったので観てみた。

『虹を掴む男』あらすじ

ピアース出版会社の校正係を勤めるウォルター・ミティは小心翼々たる平凡なサラリーマンだが、人なみはずれた白昼夢の持ち主であった。出勤の途中、石鹸の広告を見ている中に暴風雨の中を航海する帆船の船長として活躍する夢を描いて交通事故を起こしそうになったり、編集会議で社長が病院ロマンス雑誌の企画を発表すると、天下の名国手として至難な手術をなしとげる自分を夢見て、社長に叱言を喰うというような毎日をおくっていた。こうして時と所をえらばず、突然として彼を襲う白昼夢はウォルターにとって逃避の世界であったが、母親からも許婚のガートルードからも頗る心細い男に見られていた。ある日、彼は通勤の汽車の中で突然美しい女性からキッスされて呆然としてしまう。

映画.comより引用

今だと統合失調症の深刻な物語になるだろう

妄想癖のあるウォルター・ミティは油断すると自分の世界に入り込んでしまう。そのため、周りからは変な目で見られている。そんなある日、タクシーの中で殺人事件が勃発。警察に駆け込むも、外には問題のタクシーはなかった。誰かに狙われている気がするが、周りからはいつもの妄想だと思われてしまう。今、映画化するとなるとADHDとか統合失調症の深刻な映画として描かれるであろう。ダニー・ケイ演じるウォルター・ミティは落ち着きがなく、メモも十分に取れないので、買い物もろくにできない。自分の世界に入り込んでは怒られてを繰り返している。明らかにADHDの特性そのものなのだが、当時は変な人としてコメディのモチーフに使われる程度であった。そして本作のタイトルを山田洋次がパクったのも納得がいく。彼自身、社会に馴染めないような曲者が人情によって支えられていく空間を描き続けてきた人物である。ADHDや統合失調症などといった病名が社会に浸透する前の時代に人情が解決する世界を描いてきたといえよう。

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