遥かなるクルディスタン(1999)
JOURNEY TO THE SUN
監督:イェシム・ウスタオウル
出演:ニューロズ・バズ、ナズミ・クルックス、ミズギン・カパザンetc
評価:60点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
2024年積み映画ウォッチ期間にトルコのクルド人迫害問題を扱った映画『遥かなるクルディスタン』を観た。
『遥かなるクルディスタン』あらすじ
クルド人差別が横行するイスタンブール。トルコ人青年メフメットとクルド人のベルザンは、サッカー中継に興奮した暴徒に追われたことがきっかけで知り合い、親しくなる。肌の色からたびたびクルド人と間違われるメフメットは、ある日、身に覚えのない拳銃不法所持の疑いで逮捕される。一週間後ようやく釈放されるが、彼をクルド人と思い込んだ周囲は、途端に冷たくなる。ベルザンの好意でメフメットは、新しい職を得るのだが……。
ひたすら歩き続ける
イスタンブールでクルド人と間違えられたメフメットは窮地に立たされる。逮捕され、職を失った彼は居場所を求めて旅に出る。ドキュメンタリータッチで描かれる本作は、生々しい差別と監視の眼差しを捉えている。例えば、バスに乗って逃げる場面では途中で検問所があり、全員の身分証明書を回収して軍人がチェックする。その際に、数人の身分証明書を代表者が隠し、「これで全員です」と軍人に渡す。「本当に全員だな」と疑いの目がかけられた際の緊迫感が強烈なものとなっている。定期的に警察や軍人とのイベントが発生するのだが、いつ逮捕されてもおかしくない状態なので常にピリついた空気感が漂っている。牧歌的な生活から最終的に、掃き溜めでのゴミ拾いにまで堕ちてしまう描写にいたたまれなくなった。