レッドライン7000(1965)
RED LINE 7000
監督:ハワード・ホークス
出演:ジェームズ・カーン、ローラ・デヴォン、ゲイル・ハイア、ジョン・ロバート・クロフォードetc
評価:70点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
ハワード・ホークスへの関心が強い今に『レッドライン7000』を観た。
『レッドライン7000』あらすじ
カー・レーサーのジムがデイトナのレースで事故死した。同僚のマイクと雇い主のパットが宿舎に戻ると、ジムの婚約者ホリーがいた。彼女は以前にも恋人を事故で失っていた。やがてパリから招かれたドライバーのダンがホリーに一目惚れするが、ホリーは頑なに拒絶し……。出演者のほとんどが、デビュー間もない新人か演技経験のない若者で、ホークス監督は大いに手を焼いたという。題名の『7000』は車のエンジンの1分間の回転数を示している。
女性が主導権を握る異色レース映画
映画オタクだけでなくカーマニアも唸らせるレースシーンがある映画だけに、なぜ日本ではDVD化されないんだろうと思うぐらいの作品。ハワード・ホークス映画入門としてもオススメなだけに勿体無い。
さて『ハタリ!』と連続して観ると、ハワード・ホークス映画としての特徴が浮かび上がってくる。それは男社会において、女性が負けんじとストーリーに介入し、大きなミッションに参加していく傾向である。これは従来の男を惑わせる存在としてのファムファタール像を大きく変えるものではないだろうか?特に『レッドライン7000』が今でも画期的なのは、女性が排除されがちなジャンル「レース映画」において、最後まで女性が主導権を握っているところにある。また『ハタリ!』とは異なり、別ジャンル「ミュージカル」を映画の中に乱入させることにより男を導く存在を維持し続けているところが興味深い。ハワード・ホークス映画といわれると違和感が強かった『紳士は金髪がお好き』での演出がここに活かされており面白い。
そしてなんといってもレースシーンであるパワーアップした事故シーン、もはや事故が映し出される。盛大にレーシングカーが横転し、玉突き事故を起こす。燃え上がるレーシングカーを正面に捉える。本作はカイエ・デュ・シネマのベストに選出されたが、その数年後にゴダールは『ウイークエンド』で決定的瞬間は映さないものの、類似のカークラッシュを提示しようとしていた。恐らくかなりの影響を受けているのだろう。ハワード・ホークス映画において日常パートはグダグダになりがちなのだが、そのグダグダはバカンス映画が賞賛されるフランス映画界隈に受けたのだろうとも感じた。
このようにハワード・ホークスを語る上で『レッドライン7000』は重要な作品だといえよう。