ヒューマンサージ3(2023)
原題:El auge del humano 3
英題:The Human Surge 3
監督:エドゥアルド・ウィリアムズ
出演:ミーラ・ナダラサ、Sharika Navamani,Livia Silvano etc
評価:50点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
今年も恵比寿映像祭のシーズンがやってきた。今回はFilm Comment未配給ベスト2023にて1位に輝いた『ヒューマンサージ3』が上映される。Film Comment未配給ベストはカイエ・デュ・シネマやジョン・ウォーターズのベストとはまた一味違ったものがあり注目しているだけに有無を言わさず東京都写真美術館へ駆けつけた。結論から言おう。体調が悪くなりました。
『ヒューマンサージ3』あらすじ
《ヒューマンサージ》(2016年)に続く、エドゥアルド・ウィリアムズの長編第2作。本作では、ペルー、台湾、スリランカの3つの土地を横断する若者たちのグループの日常や会話が、360度カメラのレンズを通して映し出されていく。ともに時間を過ごし、憂鬱な仕事から逃れようとしながら、自分の時間をどのように使うべきかという問題に直面する人々が描かれている。グローバルな世界では失われつつある風景を巡りながら、不穏で神秘的な未来に向かって前進する彼らから、現実とは少し異なる世界の可能性が示唆される。
この映画を観て体調を崩しました
我々が夢を見るとき、それは現実だと思い込む。しかし、思い通りに動かない足取り、鮮明ながらも随所に忍び寄る曖昧さに違和感を抱き「これは夢だ」と気づき目が醒める。そのような感覚を再現したような実験映画が『ヒューマンサージ3』である。浜辺を数名が歩いている。立ったまま寝ている人の存在が指摘されるが、目を凝らしてみてもそのようなものは見当たらない。潜入しているのだろうか?何をしているのだろうか?目的地は?得体の知れない足取りは、果物の形をした不思議な家が立ち並ぶ集落へと迷い込む。そこでは突然、人が倒れ、雷雨の瞬間が訪れ、再び彼は立ち上がる。マジックリアリズム的世界となっている。かと思えば、今度は中国の駅へとワープし、弘道主はフラフラと街中を歩き始める。
本作はGoProだろうか、湾曲した視界を用いて、現実を鮮明に捉えつつも現実ではない世界を提示する。撮影によるノイズが現実のリアルさを破壊し、湾曲した画が悪夢のような空間を生み出していく。ジャングルの中、ゆっくりとカメラが遷移していくが、暴走するように回転運動を始め、プレイステーションのゲームプレイのような空間へと弾き飛ばされる。平坦な道なのに遅々として進まないもどかしさの中で、空中浮遊する人、カメラの存在を認知し、異次元へと放り出される混沌の中で完全に酔い潰れてしまい、私は気分が随分と悪くなったのであった。
意図は分かるし、悪い映画だとは思わないが、トラウマ映画体験であった。
※MUBIより画像引用