デザンシャンテ(1989)
原題:La désenchantée
英題:The Disenchanted
監督:ブノワ・ジャコー
出演:ジュディット・ゴドレーシュ、マルセル・ボゾネ、イヴァン・デニ、テレーズ・リオタールetc
評価:90点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
TSUTAYA渋谷店のVHSレンタルが終わってしまうということで追悼も兼ねてブノワ・ジャコーの『デザンシャンテ』を再鑑賞した。本作はカイエ・デュ・シネマのベストにも選出された作品で当時年の差カップルとして付き合っていたジュディット・ゴドレーシュを主演に撮った作品である。久しぶりに観たらめちゃくちゃ気持ち悪い面白さを持った作品であった。
『デザンシャンテ』あらすじ
一七歳のベット(ジュディット・ゴドレーシュ)は、弟のレミ(トマ・ザルスマン)と病気で無気力な母(テレーズ・リオタール)の三人で、パリの一角の古びたアパートに住んでいる。生活は苦しく、叔父さんと称する男(イワン・デズニー)が面倒をみている。ベットにはアイツと呼んでいる同じ年齢の恋人がいる。アイツ(マルコム・コンラート)は、自分がベットにとって初めての男だと知るや、ほかの男と寝てみたらと提案する。ほかの男を知っても必ず戻ってくるとうぬぼれているのだ。そんな男の傲慢さに失望したベットは、本当にディスコでヘンな男を引っかける。
ブス男と付き合ったら俺の良さがわかるよ。
目の前でカレシが気持ち悪い詩的な言葉を放ちながら目覚めるベットを見守る。DV気味なカレシに幻滅しつつあるベット。それに対して「ブス男と付き合ったら俺の良さがわかるよ。」と挑発する。彼から逃れるように彼女はダンスフロアに行き、気持ち悪い踊りをする青年にナンパ。彼の家に行くのだが、激しい肉体関係を迫られ拒絶する。彼の部屋からルーブルの本を拝借し、恨みを晴らすように古本屋に売りつけ、生活の足しにしていく。
本作は舞台をパリに置き換えた『少女ムシェット』といえる。家では家族の世話をしないといけない。金もない。居場所もない。かといって学校も退屈だ。そんな彼女はパリの街を彷徨い男と関係を結んでいくのだが、男性の持つナルシストな側面に幻滅していく。それだけに、彼女が夜の街を駆け抜けるラスト。男性への依存から解き放たれて自由になる瞬間の美しさに痺れた。
本作は明らかにブノワ・ジャコーがドミニク・サンダやジュディット・ゴドレーシュと付き合っていた時の思い出を反映しているような作品。今観ると、ホン・サンス映画のような空気感が漂っていたなと感じるのであった。
※IMDbより画像引用