アダプテーション(2002)
ADAPTATION.
監督:スパイク・ジョーンズ
出演:ニコラス・ケイジ、メリル・ストリープ、クリス・クーパー、ティルダ・スウィントン、ブライアン・コックスetc
評価:65点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
チャーリー・カウフマン再考をここ一週間やっている。中学時代に難解すぎて寝た『アダプテーション』を観てみた。チャーリー・カウフマン流『仮面/ペルソナ』として興味深く観た。
『アダプテーション』あらすじ
「マルコヴィッチの穴」の監督スパイク・ジョーンズと脚本チャーリー・カウフマンが再タッグを組み、脚本家カウフマンを主人公に虚実入り交ぜた奇想天外なストーリーで描いたコメディ。脚本家のチャーリー・カウフマンはスーザン・オーリアンの著書「蘭に魅せられた男 驚くべき蘭コレクターの世界」の脚色を依頼されるが、執筆に行き詰まってしまう。冴えない日々を送るチャーリーとは対照的に、陽気な双子の弟ドナルドは新進脚本家としてハリウッドで注目される存在に。焦りを感じたチャーリーは、状況を打開するべく原作者スーザンに会いに行くが……。ニコラス・ケイジがチャーリーと双子の弟ドナルドを1人2役で演じ、「めぐりあう時間たち」のメリル・ストリープ、「アメリカン・ビューティー」のクリス・クーパーが共演。2003年・第75回アカデミー賞でクーパーが助演男優賞を受賞した。
今宵も自分と密会するしんどき自己
『マルコヴィッチの穴』で注目された脚本家のチャーリー・カウフマンが、蘭コレクターの物語に着手するが行き詰まってしまう。そんな彼を嘲笑うかのように陽キャラの弟がドヤ顔を見せつけてきてフラストレーションが溜まっていく。ニコラス・ケイジがチャーリー・カウフマンと弟の二役を演じている。チャーリー・カウフマンは陰キャラで部屋に引き篭もりながら、話を膨らませにくい話題に向き合っている。陰キャラ特有の、脳内シミュレーションと被害妄想を嫌らしく描いており、例えばダイナーで蘭に興味ある店員が現れ、何度か反復してやり取りを見せるのだが、最終的な着地は蘭園デートに誘いドン引かれるものである。これは虚実どちらにせよ、コミュ障が考える最悪の展開、最悪の間合いであり強烈だ。そんな彼と対局にある弟の存在はこの映画において何を意味するのだろうか?恐らく、チャーリー・カウフマンが普段他者に魅せている側面であろう。実際、チャーリー・カウフマンが他者と対話する時には汗だくになりながらなんとか取り繕う。陽キャラを装いながら疲弊している。他者からは弟のように成功した天才としてみられているが、実際には他者との対話は緊張するし、脚本も壁にぶち当たりながら行っていることをメタ的に描いた作品。それが『アダプテーション』といえよう。この感覚、今すごい分かるだけに観ていてつらくなった。確かに、オフ会や会社の集まりが終わるたびに自分の中で反省会をしたり、内なる世界に閉じこもってあれこれ考えたりするだけにチャーリー・カウフマンの世界に今回はスッと入ることができた。
※映画.comより画像引用