『KALEV』冷たく熱い空気流れるエストニアバスケットボール映画

KALEV(2022)

監督:Ove Musting
出演:Mait Malmsten、Reimo Sagor、Priit Võigemast etc

評価:70点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

日本ではスラムダンクの映画がいろんな意味で熱気を帯びている。そんなバスケットボール映画熱が燃えている横で私はエストニアのバスケ映画『KALEV』を観た。エストニアのスポ根映画といえば、以前『心に剣士を』を観て、熱いフェンシングの闘いに心踊らされた。本作もまた、熱いドラマが繰り広げられていた。

『KALEV』あらすじ

The Soviet Union is likely to collapse and Baltic nations struggle to take back their lost independence. Soviet Union’s basketball championship is set to begin while Public opinion opposes the Estonian national team’s participation
訳:ソビエト連邦が崩壊し、バルト諸国は失われた独立を取り戻そうと奮闘している。ソ連のバスケットボール選手権が始まるが、世論はエストニア代表の参加に反対していた

IMDbより引用

冷たく熱い空気流れるエストニアバスケットボール映画

プロチームスポーツの世界は冷たい。チーム戦でありながらも、自分が選抜されるために蹴落とし合う冷たい世界である。個人対個人の軋轢が発生する世界に、世論の荒波が多い重なると、さらにシビアな世界となる。ソ連のバスケットボール選手権に出場することになったエストニアチーム「KALEV」。しかし、世論はエストニアのチームがこの選手権に参加することを反対していた。このような重い空気を前に、チームメイトの連携はなかなか取れない。さらにアメリカから黒人の本場選手が加入してきたことでチーム内の軋轢が激しくなり、イジメへと発展する。しかし、そのような状況下でも、少しずつ成果を上げていくとチームの絆が深まっていく。

このプロセスの描き方が繊細だ。試合の場面では、プレイヤーの集中を強調するように、背景を暗めに設定。プレイヤーの動きを強調する。そして、音も絞っていく。最初は、個人個人にフォーカスを当てていたカメラは、終盤になってくると群の連携を捉えるようになる。そして、罵声ばかり上げていたコーチは、終盤は祈るようにチームを応援するようになる。EUフィルムデーズや京都ヒストリカ国際映画祭で上映してもおかしくないほど、燃えるスポ根映画に仕上がっていたのであった。

※allfilmより画像引用