もくじ
- 1 6.Feathers(EL ZOHAINY Omar,エジプト)
- 2 7.Freda(GENEUS Gessica,ハイチ)
- 3 8.La femme du fossoyeur(The Gravedigger’s Wife)(KHADAR Ahmed,ソマリア)
- 4 9.La Nuit des Rois(Night Of The Kings)(LACOTE Philippe,コートジボワール)
- 5 10.Les trois lascars(DIALLO Boubakar,ブルキナファソ)
- 6 11.Lingui, Les liens sacrés(マハマト=サレ・ハルーン、チャド)
- 7 →NEXT:第27回ワガドゥグ全アフリカ映画祭FICTIONS LONG METRAGE部門作品紹介3
6.Feathers(EL ZOHAINY Omar,エジプト)
エジプト映画界はモハメド・ディアブがMCUドラマ『ムーンナイト』監督に抜擢されてから勢いに乗っている気がする。現にコンペティション部門に彼の新作『Amira』ではなく本作と『Souad』が選出されていることからも分かる。第74回カンヌ国際映画祭批評家週間にて最高賞と国際批評家連盟賞を受賞した本作は、家父長制の象徴とも言える長が子どもの誕生日の日にニワトリに変えられてしまうという内容。既に観た人曰く、ビックリするような展開が待ち受けているとのこと。2020年から2021年にかけて動物ゲテモノ映画ブームが起きているが、そのビッグウェーブに乗った作品といえよう。
7.Freda(GENEUS Gessica,ハイチ)
『バードピープル(Bird People,2014)』や『カーゴ(Cargo,2017)』に出演しているハイチ出身の俳優GENEUS Gessica初監督作品。IMDbのあらすじを確認するとハイチの閉塞感ものといったイメージを抱いたのですが、予告編では陽気な作品に見える。そのミスマッチなのだろうか、IMDbでの評判は2021/9/13時点で4.8/10と低めである。一方で第74回カンヌ国際映画祭ではFrançois Chalais Award – Special Mentionを受賞している。
8.La femme du fossoyeur(The Gravedigger’s Wife)(KHADAR Ahmed,ソマリア)
第46回トロント国際映画祭に出品されたソマリア映画。ジブチ郊外に住む家族。墓掘人として働いてきた父親だったが、母が肝臓病を患ってしまい高額な医療費を工面しなくてはいけなくなる内容。フィンランド、フランス、ドイツとの合作である。
9.La Nuit des Rois(Night Of The Kings)(LACOTE Philippe,コートジボワール)
コートジボワールの刑務所を舞台に「千夜一夜物語」を行う話なのだが、非常に語りづらい「すべらない話」の会場が用意されており、観る者の好奇心を刺激するコートジボワールの秀作。一言喋るたびに、リスナーが大袈裟なリアクションをし、目の前で話に合わせた即興演説をするのだがか、10分ぐらいで終わる話がなかなか終わらず、夜食時間が設けられていたりする。そんな地獄の刑務所でシェヘラザードになろうとする新入りを、何故か収監されているドニ・ラヴァンが陰から「ガンバ!」と応援しているところがツボな作品である。第93回アカデミー賞では国際長編映画賞ショートリストまで残った強者である。また、監督のLACOTE Philippeは第67回カンヌ国際映画祭である視点部門に『RUN』を出品している。本作は自国の首相を殺してしまった男ランの逃避行を追った作品である。コートジボワールの鬼才といえよう。
・ブログ記事:【アフリカ映画】『Night of the Kings』コートジボワールの刑務所で千夜一夜物語やってみた
10.Les trois lascars(DIALLO Boubakar,ブルキナファソ)
『Coeur de lion』で第21回ワガドゥグ全アフリカ映画祭European Union Awardを受賞した経歴があるDIALLO Boubakar監督作。ブルキナファソ映画界においてゼロ年代から活躍し、既に20作品以上作っている実績がある。最新作の『Les trois lascars』は、アリバイを作って不倫旅行をしていた男たち。しかし、彼らが乗っているはずの飛行機が墜落してしまう。そのまま帰ったら、不倫がバレてしまう状況でいかにして落とし前をつけるのかを描いている。予告編を観る限り、ブルキナファソの『ハングオーバー(The Hangover,2009)』といった感じですね。
11.Lingui, Les liens sacrés(マハマト=サレ・ハルーン、チャド)
第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に選出された作品。カンヌの常連監督マハマト=サレ・ハルーンの新作であり、15歳の少女が道徳上、法律上タブーとされている中絶を希望する内容。カンヌ公開時、Twitterに流れてきた評判はあまり良くなかった。ちなみに、元東京国際映画祭作品選定プロデューサー矢田部吉彦によると、国際映画祭には望まぬ妊娠を題材にした作品が多数出品されるらしい。言われてみれば、第78回ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞したオードレイ・ディワン監督作『L’événement』はまさしく望まぬ妊娠を扱った作品であった。
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