監督:ジュリアス・マチュルスキ
出演:ジャック・チェミルニク、イエルジー・スチュエル
評価:60点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
先日、TSUTAYA渋谷店に行きました。TSUTAYA渋谷店にはFilmarksで全くレビューのない作品やDVD化されていない謎の映画が沢山あります。80年代にポーランドで大衆映画を撮っていたジュリアス・マチュルスキ(『SFバイオワールド/女帝国の謎』、『ダヴィンチ・プロジェクト』etc)の『キングサイズ』を借りてみました。
『キングサイズ』あらすじ
Journalist Olgierd Jedlina seems to be obsessed with the themes somehow connected to the dwarfs and not the little people, but dwarfs as in fairy tales. There is a reason to that – he is a dwarf himself and he used to live in one of the drawers in place known as Drawersland (Szuflandia). But now he is in what dwarfs call King Size, which means that he is no different from people. The dwarfs can live among the people completely unnoticed as long as they will drink Polo-Cocta, otherwise they would shrink back to their small form. Olgierd is one of the dwarfs that were lucky enough to gain access to Polo-Cocta, but the ruthless leader of Drawersland wants to keep all the dwarfs in the small form threating any of the Polo-Cocta drinking dwarfs as traitors. But Olgierd is forced to return to Drawersland when his friend is arrested. What sounds like completely insane story for children is in fact one of the best sci fi comedies, although you have to understand the background of the production. King Size was created in times when Poland was still a communist country and the citizens were usually unable to leave Poland on their own free will. Juliusz Machulski, author of few great comedies, managed to parody the whole communist system by turning the story into fairy-tale like production, where actors are working with giant props. A must see – great comedy that parodies any dictatorship country even in present times.
訳:ジャーナリストのOlgierd Jedlinaは、何らかの形で小人と小さな人々ではなく、おとぎ話のように小人に接続されたテーマに取りつかれているようです。それには理由があります – 彼は自分自身が小人であり、彼はDrawersland(Szuflandia)として知られている場所で引き出しの一つに住んでいました。しかし今の彼は、小人がキングサイズと呼ぶものの中にいて、それは彼が人間と変わらないことを意味しています。ドワーフはポロコッタを飲む限り、完全に気づかれずに人々の間で暮らすことができますが、そうでなければ、彼らは自分の小さな形に戻って縮こまってしまうでしょう。Olgierdは幸運にもPolo-Cocta(ポーランドのコカコーラ)を手に入れることができたドワーフの一人ですが、Drawerslandの冷酷なリーダーは、Polo-Coctaを飲んでいるドワーフを裏切り者として脅して、全てのドワーフを小さな姿のままにしておきたいと考えています。しかし、オルギアードは、彼の友人が逮捕されたときにDrawerslandに戻ることを余儀なくされています。子供のための完全に非常識な物語のように聞こえるものは、制作の背景を理解する必要がありますが、実際には最高のSFコメディの一つです。キング・サイズ』は、ポーランドがまだ共産主義国だった時代に作られた作品で、市民は通常、自分の自由意志でポーランドを離れることができませんでした。数々の偉大なコメディの作者であるユリウシュ・マチュルスキーは、物語をおとぎ話のような演出に変えることで、共産主義体制全体をパロディ化することに成功しました。現代でも独裁国家をパロディ化した素晴らしいコメディは必見です。
※imdbより引用
コーラで巨大化!ポーランドの特撮映画
CGに頼らず、いかに空想世界を描くのか?それは特撮の醍醐味である。特撮において映えるのは、なんといっても巨大化や縮小化である。現実ではあり得ない角度から物事を捉えた時のワクワク感、それを手作りで生み出すことへのワクワク感は観客をも虜にする。CGが発達して数十年が経ちますが、未だに特撮特有のワクワク感を翻訳することは成功できていない気がする。
ある博士が巨大化できる薬を開発するのだが、組織に命狙われる。くどいようなスローモーションを多用し、博士の知人であるOlgierd Jedlina(ジャック・チェルミニク)の夢と連動する。彼が不吉な予感を察してガバッと起きると、電話がかかってきて、博士からのSOSを受ける。ホテルの一階で待ち合わせをするのだが、組織に追われた状態で雪崩れ込んだ博士は、博士とは思えぬアクロバティックな動きで逃げ惑うが、捕まってしまう。Olgierdはこの騒動に巻き込まれていくうちに小さくなって小人の世界に入っていく。
面白いことに、小人たちは『借りぐらしのアリエッティ』のように相対的に巨人である人間の生活の陰で慎ましく生きているのだが、Polo-Coctaというポーランドのコーラを飲むと一時的に人間と同じサイズで生活でき、人間に紛れて人生を謳歌していることを知るのだ。巨大化薬「キングサイズ」を探すつもりが、コーラでいいじゃんと探す対象が変わる様子。日本では漫画で擦り倒された小人になってしまった人が元に戻るために奮闘する話ではあるのだが、独特なギミックが搭載されており非常に楽しい。
クリップを使って段差を降りようとするのだが、クリップが電気に触れてしまい感電するとか、女性の博士にプロトタイプにキングサイズをかけてもらう際に人間からみた液体の質感と、小人から見た液体の質感に際を与えるため、小人目線にショットが切り替わるとスローモーションと絵の具を用いた液体に対する重み付けを行うキメの細かさだったり妙に芸の細かいことをしているので好感度が高まります。さらには、ドアに顔から突っ込んで穴が開いたりするサイレント映画が大事にしていた画としての面白さも大切にしていたりする。
大衆映画故か、80年代の倫理観で描かれているので、女性の体を男がよじ登る変態的場面があったりするのですが、これぞ映画だなと思いました。
※imdbより画像引用