【 #死ぬまでに観たい映画1001本 】『ゾラの生涯』肥満からみるゾラ最期の挑戦

ゾラの生涯(1937)
The Life of Emile Zola

監督:ウィリアム・ディターレ
出演:ポール・ムニ、ジョセフ・シルドクラウト、ゲイル・ソンダーガード、グロリア・ホールデンetc

評価:75点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

「死ぬまでに観たい映画1001本」に掲載されているエミール・ゾラの伝記モノに挑戦しました。本書掲載作品も残り200本を切ってくると気乗りがしない作品が増えてくる。こういう時は体力がある時に観るに限る。アカデミー賞の作品賞、脚本賞、助演男優賞三冠に輝いた作品だが、それも納得の面白さでした。

『ゾラの生涯』あらすじ


若き日のエミール・ゾラは、パリの屋根裏の破れ部屋でポール・セザンヌと同居し 、真実追求の激しい情熱を著作に打ち込んだ。真を書いたゆえにようやく得た出版社での職も失ったが、ある日警官に追われていた巷の女ナナを救い、彼女の身の上話を小説に書いて大好評を得、続いて書いたルーゴン・マッカール$書十数巻はゾラを一流作家とし、やがて富と地位を得て文豪の名声を博した。そのころ全世界を騒がせていたドレフュス事件が起こった。軍の機密を某国にもらしている参謀部将校が、何者であるか突き止め得なかった軍首脳部は、ユダヤ人であるが故にドレフュス大尉を犯人と断じ、反逆罪に問い悪魔島へ終身刑の囚人として送った。夫の無罪を信じるドレフュス夫人は、ゾラを訪れて世論に訴えて夫を救ってくれと頼み、書類を渡した。ゾラは有名な「余は訴う」と題する一文を草してドレフュス事件の再審を天下に訴えた。軍首脳部はすでに真犯人がエステルハジー少佐であることを知っていたが、一度有罪と決してドレフュスの処刑をくつがえすのは、首脳部の責任を問われる恐れがあるので、真相をもみ消すことに尽力した。軍は裁判所に干渉し、ゾラを中傷罪として逆に訴えるとともに、いくつかの新聞にゾラは国賊なりと書かせて大衆を扇動したのであった。かくて、ゾラの友人である弁護士ラボリの熱弁もかいなく、ゾラは有罪となり二年の禁固が申し渡された。友人たちは計ってゾラを英国に亡命させた。その後も友人たちは正義のための論陣を張り続け、そのうちに政変があってフランスの政府は一変した。このためドレフュス大尉を処刑した軍首脳部はことごとく退職させられ、真犯人エステルハージ少佐は自決してしまった。ゾラは愛国者として迎えられ、ドレフュスも悪魔島から召還され、改めて軍籍に戻り中佐に昇進した。その喜びの日の前夜、ゾラは書斎で執筆中ガス中毒で死亡した。ゾラをパンテオンに祭る日には、アナトール・フランスじゃ悼辞を述べた。
映画.comより引用

肥満からみるゾラ最期の挑戦

売れない小説家エミール・ゾラ(ポール・ムニ)は家賃取り立てに怯えながら小説家として成功する夢を見ていた。彼はフランスの現実を告発した文学を放ちたいのだが、世間はそれを欲していない。折角出版社の仕事を得たにも関わらず、思想の違いで対立してしまいお払い箱となる。彼は「そんな肥満体だから世間のこと分からないんだよ。」と吐き捨てて去っていく。彼がトボトボ街を歩いていると川に身投げする人がいる。助けようとすると沢山のホームレスが「彼は助けなくてよい。彼が死んだことで我々が助かる。」と言う。無数のホームレスは狭いスペースに密着している。一人消えることでスペースが増えるのだ。そんな彼は高級娼婦がブルジョワを破滅させていくセンセーショナルな小説『ナナ』を発表し一躍有名となり、その後売れっ子作家として貴族にまで登り詰める。

本作はてっきりエミール・ゾラのサクセスストーリーかと思いきや、上記の展開はたった30分で終わってしまう。実は本作の本題は晩年のエミール・ゾラにある。彼の元に一人の女が現れる。彼女は夫がスパイ容疑で悪魔島に幽閉されていると語るのだ。そう「ドレフュス事件」に迫るのが本作の中心に据えられているのだ。かつての出版社の人のようにぷっくり太って、「あれだけ頑張ったから老年は大人しく過ごそう」と考えていたゾラが女の情によって「私は告発する」を読み上げるに到るまでを描いているのだ。

成功したら出版社の人と同類になってしまった男、「小説家は貧しくなくては?」という言葉と積み上げてきた名声を組み合わせて一人の男を救おうと図太く法廷で圧をかける勇ましさはカッコいい。ロマン・ポランスキーが最近ドレフュス事件を映画化しているので、併せて観たい作品でした。

余談だが、「死ぬまでに観たい映画1001本」ではドレフュスをドレフェスと記載するミスがある。カタカナだとェとュは似ているし、日本語的にはドレフェスの方が発音しやすいのはわかるのだが、Alfred Dreyfusなのでドレフェスではなくドレフュスである。

※Wikipediaより画像引用

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