ラ・フロール 花(第1部)
LA FLOR PART1(2018)
監督:Mariano Llinás
出演:Elisa Carricajo、バレリア・コレア、パイラー・ガンボア、ローラ・パレーズ、エステバン・ラモチェetc
もくじ
評価:30点(第一部:40点/第二部:10点)
おはようございます、チェ・ブンブンです。
2020年に結局観られなかった14時間映画『LA FLOR』に挑戦しました。
アルゼンチンの鬼才Mariano Llinásは長編劇映画デビュー作『Historias extraordinarias』から4時間を超える超長尺映画を製作している。『Historias extraordinarias』から8年ものの歳月をかけて作られた『LA FLOR』は全6章に分かれた約14時間に及ぶ超大作であり、Elisa Carricajo、Valeria Correa、Pilar Gamboa、Laura Paredesが毎回ガラリと変わる映画のジャンルに合わせて別の役を演じている。冒頭では「世にも奇妙な物語」におけるタモリのような人物が現れ、本作の特徴を図解で示してくれます。4つの自由な物語を束ねるように1つのエピソードがまとめ、最後の1つで映画を花のように彩る。
1部:アメリカのB級映画オマージュ
2部:ミュージカル
3部:スパイ映画
4部:映画についての映画
5部:『ピクニック』のモノクロサイレントリメイク
6部:歴史劇
の順番で物語が紡がれていくのだが、時間配分がかなり荒ぶっており、第6部が30分程度なのに対して、第3部は6時間近くあるのだ。そんな化け物みたいな作品を2020年の年末から観始めた。米国iTunesでは3つのPARTに分割されており、本記事では第1部、第2部に関して書いていきます。
※イメージオーラム・フェスティバル2021にてまさかの上映決定!
『LA FLOR』あらすじ
A film in six episodes, connected by the same four actresses, full of various subplots that play with narrative and different cinematic genres , everything structured in an unusual way.
訳:同じ4人の女優によって結ばれた6つのエピソードで構成された本作は、物語性と異なる映画的なジャンルで遊ぶ様々なサブプロットに満ちており、すべてが異常な方法で構成されています。
※IMDbより引用
14時間の船出、骸の落とした瞳と不協和音
第1部:アメリカのB級映画オマージュ
荒涼とした空間に車が一台ある。そこで女性がレイプされるところから始まる。タランティーノがやりがちな強烈なズームにアメリカB級映画の香りが漂うが、何も退屈さまで再現しなくてもと思う。『デス・プルーフ』のようにアンニュイさを魅力にできるならまだしも、あまり面白くはない。ただ、時折、B級映画にありがちな思わぬ笑いを再現しているところは興味深い。考古学研究所に送られてきた目に布を巻かれた骸骨。その布を取るとゴロンと瞳の形をした石が落ちるところや、スカイプ通話中に知人から電話がかかってきて、会話をすると突然悲鳴が聞こえてきて、動揺するのだが、何故かスカイプの先にいる女性がこの世のものとは思えない絶叫顔芸を見せてくれるところに爆笑します。本作はミイラの呪いにかかり『エクソシスト』ばりに大暴れする女を鎮める物語であり、謎の配電盤のコミカルな電気信号の音やクラシックゾンビ映画のような趣気を持ったまま80分を駆け抜ける。なんだかMUBIにアップされそうな少しだけ面白い退屈な映画であった。
第2部:ミュージカル
ミュージカル映画好きとしては許せなかった。美味しい食材を前に適当な調味料で味付けしたような映画であった。フランスのシャンソン映画を彷彿させるドラマであり、歌の収録により、登場人物が過去と対峙していき、不協和音と共に妥協点を見つけていく話である。『25年目の弦楽四重奏』という傑作が、音楽の不協和音をアクションとして描き、人間関係の不和を重厚に描いていたのに対して、こちらは人間関係の不協和音を歌の掛け合いの力強さで表現する。音楽が良いだけにクローズアップの切り返しだけでミュージカルを表現しようとしているところに腹が立ってきた。確かに、ミュージカルというよりかは人間ドラマに力点を置いているのだが、それにしてもミュージカルを軽視しているようにしか見えなかった。尚、第2部は2時間ちょっとの作品であるのですが、1時間経過したところにインターミッションが存在します。※MUBIより画像引用
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