続·ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画(2020)
Borat Subsequent Moviefilm: Delivery of Prodigious Bribe to American Regime for Make Benefit Once Glorious Nation of Kazakhstan
監督:ジェイソン・ウリナー
出演:サシャ・バロン・コーエン、Anthony Hines etc
評価:25点
ナンセンスな笑いで自由という盾をバックに無知であるアメリカ、ないし人間を風刺したことで世界を仰天させ、『死ぬまでに観たい映画1001本』にも掲載された『ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』まさかまさかの続編が先日Amazon Prime Videoで配信された。本作は、コロナ禍のアメリカを風刺しており、大統領選挙シーズン真っ只中に配信される前作以上に濃密な政治的背景をもった作品。しかし、監督がラリー・チャールズからテレビ屋ジェイソン・ウリナーに変わった為か、頭でっかちな作品に仕上がっていました。
『続·ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』あらすじ
Follow-up film to the 2006 comedy centering on the real-life adventures of a fictional Kazakh television journalist named Borat.
訳:カザフの架空のテレビジャーナリスト “ボラット “の実話に基づいた冒険を描いた2006年のコメディの続編。
※imdbより引用
命がけコロナ映画
マイケル・ムーアは『ボウリング・フォー・コロンバイン』、『華氏911』で有名になりすぎて、潜入取材がしにくくなった。それをオマージュするようにサシャ・バロン・コーエン演じるボラットは顔が広く知れ渡ってしまい、仮装してもなかなか潜入取材ができない。そこで今回、彼は新キャラクターを手配するTutar Sagdiyevだ。ブルガリアの女優Maria Bakalovaが演じるこのキャラクターは頭が弱い設定で、『イディオッツ』さながら店や人の家で大暴れして困らせる役に徹している。ボラットがアメリカ巡業の資金集めをしている間、黒人女性の家に居候することとなった彼女は卑猥な絵本を読ませるよう懇願したり、ケーキの上に乗った赤ちゃんを飲み込み、トイレで吐く際に、あたかもトイレ出産&遺棄しようとしているように振る舞う。さて、今回は撮影中にコロナ時代が到来したのだろう、前半までは一発芸的笑いを並べていったのが、勇猛果敢にコロナ禍アメリカの最前線へと入っていく。マイク・ペンスの演説シーンではドナルド・トランプのコスプレをしながら乱入したり、マスクしない派の集会でジャーナリストを煽ったりする。コロナ禍で撮られた映画にもかかわらず、マスクをしている人がほとんどいない世界に驚愕させられる。ただ、今回のボラットは『サウス・パーク』的ブラックコメディをやろうとして、イメージありきのネタの散りばめとなってしまっているので「どうだ、面白いだろう。俺頭いいからバカなアメリカ市民をおちょくれるんだぜ!」と人を見下している感じが強くて全くノレなかった。ディズニー映画然り、最近のアメリカ映画が社会問題入れておけば映画評論家や市民から評価を得られるだろうと高慢になっている傾向がある。このイキッた笑いには、2010年代以降のアメリカ映画の問題点が詰まっているように思えた。
※imdbより画像引用
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