『ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!』ビルとテッドが帰ってきた!

ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!(2020)
Bill & Ted Face the Music

監督:ディーン・パリソット
出演:キアヌ・リーヴス、アレックス・ウィンター、クリステン・シャール、サマラ・ウィーヴィング、ブリジット・ランディ=ペインetc

評価:90点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

数年前から製作が噂されていた『ビルとテッド』シリーズ第三弾がついに完成した。キアヌ・リーヴス、アレックス・ウィンターをはじめ、テッドの父役ハル・ランドン・Jrや『ビルとテッドの地獄旅行』に登場した“死神”グリム・リーパー役ウィリアム・サドラーも参戦する同窓会となっている模様。監督は前二作から変わり『ギャラクシー・クエスト』のディーン・パリソットが担当する。この最強布陣で製作されたはちゃめちゃSF冒険活劇にまさか泣かされるとは思いもよりませんでした。

※日本公開は2020/12/18(金)です。

『ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!』あらすじ


Once told they’d save the universe during a time-traveling adventure, 2 would-be rockers from San Dimas, California find themselves as middle-aged dads still trying to crank out a hit song and fulfill their destiny.
訳:カリフォルニア州サンディマス出身の2人のロッカーは、タイムトラベルの冒険の間に宇宙を救うと言われていたが、ヒット曲を作り、運命を果たそうとしている中年の親父になっていることに気づく。
IMDbより引用

ビルとテッドが帰ってきた!

ディーン・パリソット監督はクドカンに近いものを感じる。破茶滅茶を楽しそうに作り込むことで、観客もその無茶苦茶に乗ってみようという気にさせる。『ギャラクシー・クエスト』のチープなSF演出が茶番が愛ある冒険譚に化けていく姿が見事だったという印象が強い。それだけに無茶苦茶な茶番を全力でやってのける『ビルとテッド』シリーズとの相性は抜群であった。何よりも、ここ10年近く人気はあれども演技の端々に人生を楽しめていなさそうな哀愁が漂うキアヌ・リーヴスから本物の笑みを引き出した監督の技量にまず感動を覚えた。冒頭、テッドの弟の結婚式会場でテルミン片手にアレックス・ウィンター演じるビルと踊り狂う姿は、演技を通り越して同窓会を楽しんでいる印象が見受けられます。

そんな彼らの前にルーファスの娘が未来から出現する。

「PM 7:17にMP46で人類を統一する音楽を奏でないと時空衝突が起こる。」

と告げられた彼だが、彼らは曲が思い浮かばない。そうだ、成功した未来の自分たちから曲を貰えばいいじゃん!と思った二人は、例の電話ボックスに乗り込み未来へ行く。今回は、同時進行で彼らの妻子のタイムトラベルも描かれ、クリストファー・ノーラン映画のように時間軸がスパゲッティコードとなっている。『ドラえもん』なんか知っていると、「時空が壊れてしまうのでは?」と不安になるのですが、そんな観客の不安御構い無しに、ビルとテッド一族は時間跳躍を繰り返し、自分の手でどんどん世界を混沌に導いていきます。

彼らが地獄に落ちようとも、電話ボックスが消滅しようとも、フリーザの格好をした殺人ロボットが襲いかかってきても底抜けに笑い飛ばし、ゴリ押しで難所を乗り越えようとする姿に心踊らされます。昨今のハリウッド大作が社会的情勢を物語に反映させようとして頭でっかちになりがちな中、こうした作品は貴重である。

そして、本作は「PM 7:17にMP46で人類を統一する音楽を奏でないと時空衝突が起こる。」というミッション、そして30年ぶりの新作ということもあり、どうキャラクターをアッセンブルさせていくのかが肝となっているのですが、それが非常によくできている。ビルとテッドサイドは物語を加速させる装置として機能する一方で、娘と息子サイドは音楽ファン大歓喜のアッセンブル物語を紡がせる。そして妻サイドは、我々観客の困惑を代弁させる働きを担っている。それが複雑に絡み合い、最後に混沌地獄アポカリプスなうな世紀末の中で気持ちを一つにさせる姿はカタルシスを生み出し、思わず泣けてきます。

TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』さながら、無茶苦茶の極みだが、それを監督もキャストも楽しく駆け抜けることで生まれる感動がそこにありました。ディズニーが配信スルーの動きを加速化させようとする世界ですが、『Bill & Ted Face the Music』を劇場公開しないのは悲しすぎる。

映画館で公開されるとなれば観に行きたい傑作でした。

※画像はIMDbより引用

ブロトピ:映画ブログの更新をブロトピしましょう!
ブロトピ:映画ブログ更新

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です